2024年の軍事技術を総括 ミサイル戦争

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2024年の軍事技術を総括 ミサイル戦争 - Sputnik 日本, 1920, 09.01.2025
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2024年、武力紛争は激化し、新たな国々に拡大したが、それだけに終わらず、紛争が技術的に新たな水準に達し、それが世界規模の紛争に発展する傾向を示した。2024年の主役はミサイル戦争であった。
北朝鮮のミサイルは大量生産が可能
2024年1月14日、北朝鮮は射程3 000~5 500キロの極超音速弾頭を搭載した新型固体燃料式の中距離弾道ミサイルの実験を行った。
北朝鮮の保有ミサイルはすでに、戦術タイプから大陸間弾道弾まで大量にあるが、固体燃料ミサイルの発射実験に成功したことで、同国のミサイル部隊は新たな能力を手に入れたことになる。
液体燃料と酸化剤で飛行するミサイルに比べると、固体燃料自体は非常に複雑な化学物質だが、反面、それを用いたミサイルの構造ははるかに単純で、事実上、固体燃料を詰めた鋼管を、例えば黒鉛製の蓋で閉じたものだ。固体燃料ミサイルは液体燃料型よりもはるかに単純な構造であるため、組み立てラインで製造することができる。
これはミサイルを広範囲で使用したいという北朝鮮の思惑を示している。航空技術がほぼ完全に欠如していることを考えると、北朝鮮にとってミサイルは重要である。ミサイルは北朝鮮軍にとってただ一つ、長距離で戦える破壊手段なのだ。
前評判が台無しの欧米の戦車 ウクライナで焼失のエイブラムス
2024年2月26日、ウクライナでの特別軍事作戦中にウクライナ軍に譲渡された米国製戦車M1A1エイブラムスの最初の1台がアブデーフカ近郊で破壊された。報告によると、戦車はまず、アブデーフカから北西のベルディチ村近郊でFPV(一人称視点)ドローンによる攻撃を受け、その後、RPG弾頭(対戦車擲弾)によって破壊された。
米国が戦車M1A1エイブラムス、31両のウクライナへの譲渡を承認したのが2023年8月。1月後の9月23日、最初の車両がウクライナに到着し、10月17日、予定されていた最後の車両がウクライナ軍第47機械化旅団に到着した。2024年2月17日、ロシア軍はドネツクの北西のアヴデーフカを掌握。この敗北後、ウクライナ軍司令部は失われた陣地を取り戻すために、米国製戦車を戦闘に投入した。
燃えている戦車の映像から判断すると、衝撃は砲塔の後部の右側に命中している。この砲塔後部には44発と、装備の弾薬の大部分が集中している。この弾薬が爆発して乗員は死亡したとのだろう。
M1A1エイブラムスは長年、最高の戦車だと考えられていた。しかし、ウクライナでの戦闘の経験から、西側諸国の戦車はすべて、実はロシアの最新対戦車兵器にとっては脆弱な標的であることがはっきりした。砲弾が積まれている砲塔後部が共通の弱点になっているからだ。
全般的に米国や欧州のあらゆる軍事装備品は、ほぼ無敵と宣伝誇示されてきた割にはその評判はウクライナでの実戦では裏付けられなかった。
「弾道」ミサイルによる試験攻撃?
2024年9月15日、フーシ派はイスラエルに向けて1発のミサイルを発射した。フーシ派の報道官、ヤヒア・サリー氏によれば、ミサイルは極超音速で、約11分半で2040キロを移動し、イスラエル中部のヤッファ近郊の標的に命中した。
この時、フーシ派のミサイルは2つのミサイル防衛網を突破した。第一の防衛網は、紅海のミサイル防衛艦隊で、米国ミサイル駆逐艦USSマイケル・マーフィー(DDG-112)とUSSフランク・E・ピーターセン・ジュニア(DDG-112)、フランスのフリゲート艦シュバリエ・ポール(D-621)である。
もうひとつの防衛網は、イスラエルの領空を守るミサイル防衛システムである。
イランがフーシ派の協力を得て、実際の戦闘状況で新型弾道ミサイルを試験したのではないかと示唆されている。発射は成功。イランにとっては、イスラエルとのミサイル戦争を計画する好機だった。
世界最強の防衛システムを突き破ったイランのミサイル攻撃
2024年10月1日にかけての深夜、イランはイスラエルに大規模なミサイル攻撃を仕掛けた。イスラム革命防衛隊のサルダール・サラミ総司令官によれば、200発のミサイルが発射された。この一斉発射はイスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」を突破し、多くの軍事施設に命中した。
10月4日に公開されたネヴァティム空軍基地の衛星画像によると、ベエルシェバから西へ8キロに位置する同基地に32発のミサイルが命中している。打撃を受けたのはエイラートから北に40キロ離れたオブダ空港。ここは軍事航空の本拠地でもあり、戦闘機F16用の鉄筋コンクリートの格納庫に3発、滑走路と誘導路の間の技術棟に1発が命中した。また、テルアビブの北、ラマット・ハシャロンにあるイスラエル軍司令部と情報機関モサドの本部付近にも命中した。
実戦では初使用 「オレシュニク」攻撃
2024年11月21日、ウクライナ軍が西側から受領のミサイルでブリャンスクとクルスク州を攻撃したことへの報復として、ロシアは非核の極超音速弾頭を搭載の弾道ミサイルを使って、攻撃を開始した。「オレシュニク」と命名されたこのミサイルは、誘導弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルRS-26「ルべジ」を改良したものだった。
打撃を受けたのは、ドニエプロペトロフスク(ウクライナ名:ドニプロ)のユージュマシュ工場だった。そこでは巡航ミサイルや無人航空機を製造していた。ウクライナは打撃結果を完全に秘密にしているため、被害を判断するのは難しい。公開されたのは打撃の瞬間をとらえた映像にとどまっている。聞くところによれば、工場の建造物の破壊規模は地上、地下ともに甚大だったという。
これは「オレシュニク」の史上初の弾道ミサイルの実戦使用となった。
この出来事の影響は多岐にわたった。核を搭載しない弾道ミサイルを「禁止リスト」から外し、核兵器使用の敷居を大幅に引き下げた。
さらに、このことで西側のミサイル防衛システムは極超音速弾頭の迎撃には効果を発揮しないことが証明された。西側の極超音速ミサイルはまだ開発中であるため、米国、NATO諸国、およびその同盟国は軍事的、技術的優位性を失った。
コンピューター戦争とその結果
2024年2月2日、米国防総省のサイバー軍司令官と国家安全保障局長を兼任したポール・ナカソネ大将が退任した。これには重大な理由があった。2023年5月、中国のハッカー集団「ボルト・タイフーン」が、世界最大かつ最も重要な米軍基地のひとつであるグアム島のコンピューター・システムを攻撃した。しかもこの攻撃は、3か月前の2023年2月に中国の気球が米国上空を飛行し、偵察を疑った米軍により迎撃された直後に起きた。
グアムは非常に重要な島だ。第3艦隊、第5艦隊、第7艦隊と連絡を取り合う米海軍の通信センターがあり、衛星からデータを受信する第21宇宙作戦中隊の部隊がある。インド太平洋地域における米軍全体の「中枢」である。
対中国の戦闘中にこの重要な通信センターがコンピューター攻撃を受ければ、空軍、海軍の戦闘作戦が混乱する可能性がある。どうやらナカソネ大将はこのようなことが二度と繰り返されないという保証を与えることができず、解任されたようだ。これは、サイバー攻撃が非常に深刻であったことを意味している。
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