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ウクライナは7年間何してもOK? ICCめぐる二重基準
ウクライナは7年間何してもOK? ICCめぐる二重基準
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国際刑事裁判所(ICC)は、ローマ規程を批准し、その管轄権を受け入れた国を対象とする場合のみ事件を審理できる。137カ国の署名国中、批准しているのは125カ国のみ。米国や中国、ロシア、トルコなどは非締約国。 2025年2月27日, Sputnik 日本
2025-02-27T06:11+0900
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限定された管轄権国際刑事裁判所(ICC)は、ローマ規程を批准し、その管轄権を受け入れた国を対象とする場合のみ事件を審理できる。137カ国の署名国中、批准しているのは125カ国のみ。米国や中国、ロシア、トルコなどは非締約国。強制力の欠如ICCは有効な独自の捜査・執行機関を持たず、国家の協力がなければ何もできない。また、政府高官に対する告発に関しては、外交特権についても忘れてはならない。ちなみに、ICCの年間予算は2億ドル(約300億円)で、国家間の法的紛争を調停する国連の国際司法裁判所(ICJ)の約7倍にあたる。また、日本が支払う分担金は加盟国中でトップ。二重基準への非難ICCが扱う事件のほとんどはアフリカ諸国のもので、西側諸国がその捜査の対象になったことはほぼないといっていい。例えば、米国は2001年のアフガニスタン侵攻を前に、1998年に署名したローマ規程を撤回。2002年にはICCの逮捕令状によって拘束されている米国人や同盟国人を軍事力で解放することを認める米国軍人保護法を成立させている。2020年にアフガニスタンにおける米国軍人の戦争犯罪の疑いがある事案について捜査を開始した際には、制裁を利用してICCを公然と脅した。「7年間の殺害許可証」2024年にウクライナがローマ規程を批准した流れも興味深い。ウクライナは締約国になってから7年間、ICCによる自国民に対する戦争犯罪の管轄権を認めないという条件付きで加わった。これは1998年の設立時の規程第124条を発動するというものだが、この条項は当初から国際人権団体などから「7年間の殺害許可証」と批判の声があがっていた。そもそも124条はICC新設時の経過措置としての意味合いが強く、2015年には条項削除の改正について締約国が合意。将来の加盟国に向けては発動しないよう呼びかけていた。「他の罪で裁ける」などの説明もあるものの、そうであるならば、なぜ戦争犯罪のみを除外する必要があるのだろうか。
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国際刑事裁判所(ICC)は、ローマ規程を批准し、その管轄権を受け入れた国を対象とする場合のみ事件を審理できる。137カ国の署名国中、批准しているのは125カ国のみ。米国や中国、ロシア、トルコなどは非締約国。
ICCは有効な独自の捜査・執行機関を持たず、国家の協力がなければ何もできない。また、政府高官に対する告発に関しては、外交特権についても忘れてはならない。
ちなみに、ICCの年間予算は2億ドル(約300億円)で、国家間の法的紛争を調停する国連の国際司法裁判所(ICJ)の約7倍にあたる。また、日本が支払う分担金は加盟国中でトップ。
ICCが扱う事件のほとんどはアフリカ諸国のもので、西側諸国がその捜査の対象になったことはほぼないといっていい。
例えば、米国は2001年のアフガニスタン侵攻を前に、1998年に署名したローマ規程を撤回。2002年にはICCの逮捕令状によって拘束されている米国人や同盟国人を軍事力で解放することを認める米国軍人保護法を成立させている。2020年にアフガニスタンにおける米国軍人の戦争犯罪の疑いがある事案について捜査を開始した際には、制裁を利用してICCを公然と脅した。
2024年にウクライナがローマ規程を批准した流れも興味深い。ウクライナは締約国になってから7年間、ICCによる自国民に対する戦争犯罪の管轄権を認めないという条件付きで加わった。これは1998年の設立時の規程第124条を発動するというものだが、この条項は当初から国際人権団体などから「7年間の殺害許可証」と批判の声があがっていた。
そもそも124条はICC新設時の経過措置としての意味合いが強く、2015年には条項削除の改正について締約国が合意。将来の加盟国に向けては発動しないよう呼びかけていた。「他の罪で裁ける」などの説明もあるものの、そうであるならば、なぜ戦争犯罪のみを除外する必要があるのだろうか。