【連休中に3回為替介入か なぜこのタイミング? 政府はだんまり】

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円ドル - Sputnik 日本, 1920, 07.05.2026
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政府・日銀が先月末に続き、5月の連休中にも複数回の為替介入を行ったとの観測が市場で広がっている。その背景には、急速な円安への危機感だけでなく、連休中というタイミングや国際基準を意識した「市場の隙」を突く政府側の戦略も透けて見える。

1週間で4回、9兆円介入か

4月下旬、円相場は政府の「防衛ライン」とみなされてきた1ドル=160円台を割り込み、2024年7月以来1年9ヶ月ぶりの円安水準となった。片山財相は30日、「いよいよかねてから申し上げ​てきた断固たる措置を取るタイミングが近づいている」と投機筋をけん制した。
その日の夜、円相場は一気に155円半ばまで急伸した。介入について公式発表はなかったが、5月1日に発表された日銀の当座預金残高と事前の市場予想の差から考えると、5~6兆円規模の円買い・ドル売りの介入を行ったとみられている。
それでも、じわじわと円安が進む傾向が続いた。1、4、6日にも157円台から155円台に一気に円高に振れる場面があり、追加で介入が行われたとの見方が広がっている。その規模は4兆円以上と見積もられている。
1週間で推定9兆円規模の介入を行った計算になる。だが、報道によると三村淳財務官は7日、為替介入について「コメントする必要はないと思う」と肯定も否定もしていない。
為替介入が実際に行われていたとして、なぜゴールデンウィーク中なのか。それは日本市場が祝日で日本の銀行、投資家の取引が減るタイミングを狙ったとみられる。市場参加者が少ない時のほうが、より少ない資金で大きく円高方向に動かせる可能性が高いからだ。
インベスティング・ドット・コムのスクリーンショットより作成した相場変動チャート
インベスティング・ドット・コムのスクリーンショットより作成した相場変動チャート - Sputnik 日本, 1920, 07.05.2026
インベスティング・ドット・コムのスクリーンショットより作成した相場変動チャート

「3営業日で1回」で投機筋を騙し討ちか

国際通貨基金(IMF)では、目安として6ヶ月の間に3回までの為替介入であれば、「自由変動相場制」とし、3回を超えると単なる「変動相場制」に分類する傾向がある。日本は現在「自由変動相場制」となっている。
基本的に為替相場は市場原理に任せるのが原則で、介入はあくまでも非常手段だ。政府の市場干渉が多ければ、海外投資家の不信や円資産離れを招きかねない。さらに、諸外国から「為替操作国」とみなされ、貿易摩擦や政治問題化する恐れもある(もっとも、今回は過度な円安の是正という、米側も求めていた方向への介入ではあるが)。
このため、日本政府としてはなるべく「6ヶ月間で3回」以内に抑えたいとの思いが働くとみられる。だが、IMFの実務上の運用では「3営業日での介入は1回」と数えるとの例外がある。日本が祝日でも海外市場が動いていれば1営業日とみなすため、4月30日から数えて3営業日は1日、4日までと、ちょうど大きな相場変動がみられた日付と重なっている。
日本メディアは、ウズベキスタンで開かれた国際会議に財相に同行した関係筋が4日、IMFの「3営業日で1回」規定に言及したと伝えていた。
しかし、これで円相場の動きは終わらなかった。6日にも大きく円高方向に傾く波があった。「3営業日で1回」の基準を考えれば、すでに2回目に入ったことになる。財相関係筋の発言報道に触れ、4日以降は介入がないと踏んでいた投機筋は不意打ちを受けた形となった。
三村財務官は7日、「IMFの6か月に3シリーズ(回)というのは、単なる分類水準」「回数を制約するものとは思っていない」と指摘している。確かに、この基準は明文化されているわけでもなければ、破ればペナルティがあるわけでもない。

根本的な解決にはならない

実際は為替介入だけで長期的な円安トレンドを覆すのは難しい。あくまでも一時的な対症療法としての効果しかないことは、今回も介入とみられる相場変動が起こった後、徐々に円安に戻る傾向があったのをみても明らかだ。
「日銀が利上げしない」「米連邦準備制度理事会(FRB)が高金利を維持する」という2つの要素。すなわち日米の金利差が埋まらないという状況が変わらなければ、劇的に円安が解消するシナリオは見えない。
ヘッジファンドからも「介入の効果は一時的」と見透かされる。実際、過去の円買い介入時も、一時的に数円動いても数週間~数ヶ月で戻るケースが多かった。
だが、政府・日銀としても、過度な変動の抑制効果はあるものの、根本的解決が期待できないことは織り込み済みだ。そのうえで、市場に「過度な投機は許さない」というメッセージを送り続けている。
今回の介入観測は、円相場をめぐる攻防が、単なる通貨問題ではなく、金融政策と市場心理、そしてIMFの国際基準が複雑に交錯する神経戦であることを改めて示した。
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