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北朝鮮 戦略的に重要な駆逐艦「姜健」と「崔賢」
北朝鮮 戦略的に重要な駆逐艦「姜健」と「崔賢」
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北朝鮮の新型駆逐艦が軍事専門家らの大きな注目を引きつけている。6月23日に就役させた「崔賢(チェ・ヒョン)」と、進水テスト中の「姜健(カン・ゴン)」の2隻だ。 2026年7月16日, Sputnik 日本
2026-07-16T19:34+0900
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注目を浴びた理由のひとつに、2025年5月21日の「姜健」の進水式での失敗がある。式には指導部、司令部の歴々が集まり、ミサイル発射実験が行われるはずだった。次の疑問は「崔賢」の兵装がなぜか入れ替えられたこと。そして、最後の謎は、北朝鮮の艦隊はなぜ新型の軍艦を必要としたのかということだ。北朝鮮の艦隊は主要な攻撃力をすでに有しており、それは依然として潜水艦であることには変わりはないからだ。就役前の船の兵装が入れ替え就役前の「姜健」の兵装がこうも抜本的に変更されたのはなぜだろうか? 変更点を重要度の低いものから順に見ていくと、まず2基の30mm艦載機関砲AK-630が、中国製30mm近接防空システム「730型CIWS」に酷似したものに換装されている。外観は非常によく似ていることから、おそらく730型CIWSそのものだと思われる。中国製対艦ミサイルYJ-83(派生型によって射程は120~230km)の4連装発射機が撤去された。また、14.5mmのKPV重機関銃(ウラジーミロフ式大口径機関銃)が搭載されていた。つまり甲板上には連装銃架8基、さらに船体の銃眼から射撃する機関銃6挺が配置され、合計24門になった。KPVは非常に強力な重機関銃で、800mの距離からでもBTR-80装甲兵員輸送車の車体を貫通できる性能を持つ。これらの機関銃の主な標的は無人艇(USV)だ。さらに重要な改修点は、ミサイル用の垂直発射装置(VLS)のセルである。2025年4月と10月に撮影された写真では、発射筒セルの配置が比較的鮮明に確認でき、その数を数えることが可能だ。今回の駆逐艦近代化改修では、艦首および艦尾のVLS区画が換装され、それぞれのセル数にも変更が加えられている。発射装置の規格統一が大きく前進したことが見て取れる。従来は3種類のVLSセルが存在していたが、現在では2種類に整理された。また、中型発射筒セルの数は44セルから56セルへと大幅に増加した一方で、弾道ミサイルの搭載を想定していたとみられる大型発射筒セルは廃止されている。小型発射筒セルに搭載されるのは防空ミサイルシステムS-300「リドゥート」で、9M100地対空ミサイルが使われる。射程は約10kmである。一方、中型発射筒セルには数種類のミサイルを搭載できるとみられる。その一つが、「リドゥート」システム用の9M96E地対空ミサイルで、最大射程は50km、迎撃高度は20kmに達する。さらに射程120km、迎撃高度30kmの9M96E2も運用可能と考えられる。また、中型セル1基には9M100を4発束ねて収容するクアッドパック(4連装)方式での搭載も可能だ。その結果、近代化改修後、この駆逐艦が搭載可能な長射程防空ミサイルの数は20セルから56セルへとほぼ3倍に増加した。これまでは20セルを防空ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイルで共用しなければならなかったが、現在では56セルにより、はるかに大規模な弾薬搭載が可能となっている。例えば、対艦ミサイル8発、巡航ミサイル8発、長射程防空ミサイル40発という構成や、あるいは長射程防空ミサイル30発に加え、9M100短距離防空ミサイル40発(中型セル10基にクアッドパック搭載)といった柔軟な構成も選択できる。この近代化改修によって、駆逐艦の戦闘能力は大幅に向上した。防空艦なぜ防空ミサイルに重点が置かれているのか。それは、北朝鮮には戦術ミサイルや弾道ミサイル(地上発射型も艦載型も)の発射装置がすでに十分な数存在しているからだ。その一方で、防空・対ミサイル防衛能力、特に黄海および日本海方面からの防空能力は明らかに脆弱だ。このため、強力な航空戦力と水上艦隊を保有する相手に対しては、これらの海域の奥深くから航空攻撃やミサイル攻撃を受ける余地が残されている。北朝鮮が計4隻の建造を計画する「崔賢」級駆逐艦に課せられた特殊な任務は、一定海域における防空・ミサイル防衛を担うこと。仮に長射程防空ミサイルの射程を150kmとすると、この駆逐艦が仁川から真っすぐ西に約100km離れた海域に展開した場合、その防空圏は北朝鮮南西部沿岸の全域を覆うだけでなく、韓国中部上空の航空目標に対しても迎撃能力を発揮できる。おおよその作戦半径にはソウル東部郊外、龍仁(ヨンイン)、牙山(アサン)、保寧(ポリョン)などが含まれる。さらに、この駆逐艦は航空機、対艦ミサイル、無人機(UAV)、無人艇(USV)による攻撃を十分に撃退できる能力を備えているため、海岸にさらに接近すれば、韓国領空の目標への攻撃可能範囲は一段と拡大することになる。一方、元山(ウォンサン)の東方約50kmの海域に展開した別の駆逐艦は、北朝鮮の最北部を除く東海岸への接近経路を楽々と防衛することができる。防護対象には、港湾、海軍基地、造船所、大規模工業コンビナートなどの重要施設が含まれる。このため、1隻を東海岸の防空任務に充てたとしても、残る2~3隻は前方へ展開し、防空を主体とした攻勢作戦を実施することが可能となるため、その結果、米韓軍の航空戦力の行動を大きく制約できる。仁川からソウル一帯は北朝鮮地上軍にとって、南進作戦の主突破正面となる地域だ。この地域において、こうした防空ミサイル装備を備えた駆逐艦3隻が展開すれば、ある一定の間は事実上、敵航空戦力をその空域から排除し、韓国軍と米軍にとって最大の優位性である航空優勢を失わせる可能性がある。こう考えると、まだ十分な運用実績もない「崔賢」の換装は文句なしに正当化できる。これまでのバージョンでは、「崔賢」は自衛し、弾道ミサイルを発射することができたが、換装後は、ある一定の空域を飛ぶ敵機であれば排除が可能なため、戦略的な意味が付加されている。
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北朝鮮 戦略的に重要な駆逐艦「姜健」と「崔賢」
北朝鮮の新型駆逐艦が軍事専門家らの大きな注目を引きつけている。6月23日に就役させた「崔賢(チェ・ヒョン)」と、進水テスト中の「姜健(カン・ゴン)」の2隻だ。
注目を浴びた理由のひとつに、2025年5月21日の「姜健」の進水式での失敗がある。式には指導部、司令部の歴々が集まり、ミサイル発射実験が行われるはずだった。次の疑問は「崔賢」の兵装がなぜか入れ替えられたこと。そして、最後の謎は、北朝鮮の艦隊はなぜ新型の軍艦を必要としたのかということだ。北朝鮮の艦隊は主要な攻撃力をすでに有しており、それは依然として潜水艦であることには変わりはないからだ。
就役前の「姜健」の兵装がこうも抜本的に変更されたのはなぜだろうか? 変更点を重要度の低いものから順に見ていくと、まず2基の30mm艦載機関砲AK-630が、中国製30mm近接防空システム「730型CIWS」に酷似したものに換装されている。外観は非常によく似ていることから、おそらく730型CIWSそのものだと思われる。
中国製対艦ミサイルYJ-83(派生型によって射程は120~230km)の4連装発射機が撤去された。また、14.5mmのKPV重機関銃(ウラジーミロフ式大口径機関銃)が搭載されていた。
つまり甲板上には連装銃架8基、さらに船体の銃眼から射撃する機関銃6挺が配置され、合計24門になった。KPVは非常に強力な重機関銃で、800mの距離からでもBTR-80装甲兵員輸送車の車体を貫通できる性能を持つ。これらの機関銃の主な標的は無人艇(USV)だ。
さらに重要な改修点は、ミサイル用の垂直発射装置(VLS)のセルである。2025年4月と10月に撮影された写真では、発射筒セルの配置が比較的鮮明に確認でき、その数を数えることが可能だ。今回の駆逐艦近代化改修では、艦首および艦尾のVLS区画が換装され、それぞれのセル数にも変更が加えられている。
発射装置の規格統一が大きく前進したことが見て取れる。従来は3種類のVLSセルが存在していたが、現在では2種類に整理された。
また、中型発射筒セルの数は44セルから56セルへと大幅に増加した一方で、弾道ミサイルの搭載を想定していたとみられる大型発射筒セルは廃止されている。
小型発射筒セルに搭載されるのは防空ミサイルシステムS-300「リドゥート」で、9M100地対空ミサイルが使われる。射程は約10kmである。
一方、中型発射筒セルには数種類のミサイルを搭載できるとみられる。その一つが、「リドゥート」システム用の9M96E地対空ミサイルで、最大射程は50km、迎撃高度は20kmに達する。さらに射程120km、迎撃高度30kmの9M96E2も運用可能と考えられる。
また、中型セル1基には9M100を4発束ねて収容するクアッドパック(4連装)方式での搭載も可能だ。
その結果、近代化改修後、この駆逐艦が搭載可能な長射程防空ミサイルの数は20セルから56セルへとほぼ3倍に増加した。これまでは20セルを防空ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイルで共用しなければならなかったが、現在では56セルにより、はるかに大規模な弾薬搭載が可能となっている。
例えば、対艦ミサイル8発、巡航ミサイル8発、長射程防空ミサイル40発という構成や、あるいは長射程防空ミサイル30発に加え、9M100短距離防空ミサイル40発(中型セル10基にクアッドパック搭載)といった柔軟な構成も選択できる。この近代化改修によって、駆逐艦の戦闘能力は大幅に向上した。
なぜ防空ミサイルに重点が置かれているのか。それは、北朝鮮には戦術ミサイルや弾道ミサイル(地上発射型も艦載型も)の発射装置がすでに十分な数存在しているからだ。
その一方で、防空・対ミサイル防衛能力、特に黄海および日本海方面からの防空能力は明らかに脆弱だ。このため、強力な航空戦力と水上艦隊を保有する相手に対しては、これらの海域の奥深くから航空攻撃やミサイル攻撃を受ける余地が残されている。
北朝鮮が計4隻の建造を計画する「崔賢」級駆逐艦に課せられた特殊な任務は、一定海域における防空・ミサイル防衛を担うこと。仮に長射程防空ミサイルの射程を150kmとすると、この駆逐艦が仁川から真っすぐ西に約100km離れた海域に展開した場合、その防空圏は北朝鮮南西部沿岸の全域を覆うだけでなく、韓国中部上空の航空目標に対しても迎撃能力を発揮できる。おおよその作戦半径にはソウル東部郊外、龍仁(ヨンイン)、牙山(アサン)、保寧(ポリョン)などが含まれる。
さらに、この駆逐艦は航空機、対艦ミサイル、無人機(UAV)、無人艇(USV)による攻撃を十分に撃退できる能力を備えているため、海岸にさらに接近すれば、韓国領空の目標への攻撃可能範囲は一段と拡大することになる。
一方、元山(ウォンサン)の東方約50kmの海域に展開した別の駆逐艦は、北朝鮮の最北部を除く東海岸への接近経路を楽々と防衛することができる。防護対象には、港湾、海軍基地、造船所、大規模工業コンビナートなどの重要施設が含まれる。このため、1隻を東海岸の防空任務に充てたとしても、残る2~3隻は前方へ展開し、防空を主体とした攻勢作戦を実施することが可能となるため、その結果、米韓軍の航空戦力の行動を大きく制約できる。
仁川からソウル一帯は北朝鮮地上軍にとって、南進作戦の主突破正面となる地域だ。この地域において、こうした防空ミサイル装備を備えた駆逐艦3隻が展開すれば、ある一定の間は事実上、敵航空戦力をその空域から排除し、韓国軍と米軍にとって最大の優位性である航空優勢を失わせる可能性がある。
こう考えると、まだ十分な運用実績もない「崔賢」の換装は文句なしに正当化できる。これまでのバージョンでは、「崔賢」は自衛し、弾道ミサイルを発射することができたが、換装後は、ある一定の空域を飛ぶ敵機であれば排除が可能なため、戦略的な意味が付加されている。