スプートニク日本
この日のシナリオはもう何年も変わっていない。まず全国の複数の都市で市民の抗議集会が開かれる。これに集まる人数は一様ではない。また東京のロシア大使館をはじめとするロシアの様々な外交代表部の前に市民が集まり、島の返還が叫ばれる。そして拡声器から高らかに軍歌を鳴らしながら宣伝カーが走り回り、諸島の即刻返還が叫ばれる。この日、首相が北方領土返還運動の市民の前で演説に立つというのも恒例となっている。
2014年の北方領土の日はソチ冬季五輪の開幕式とちょうど重なった。この日安倍首相はロシアを訪問し、東京のロシア大使館前の抗議行動は行われはしたものの、あまり注目を惹くものではなく、集まった人数も前年に比べると格段に少なかった。2017年2月7日、つまり昨年の返還要求集会もやはり、そう規模の大きなものではなかった。安倍首相は北方領土返還要求全国集会で私とプーチン大統領が、この戦後ずっと残されてきた課題に終止符を打つ、その強い決意を共有したのです」と発言している。この同日、東京で南クリル諸島における両国の共同経済活動を話し合う省庁間会議の初会合が成立していたことは興味深い。
歴史博士のアナトーリー・コーシキン氏はレグナム通信に次のような見解を寄せている。
「劇的なことは何もないし、ありえもしない。ロシアの極東地域での国防能力の強化という通常の作業が行われているだけの話だ。それに日本側も、日米軍事同盟が北朝鮮からの防衛の旗印のもとに新型ミサイルや別の機器を日本に拡大配備しているという状況でこのことは理解されている。日本は米国の提示した新核ドクトリンを高く評価した。これには潜在的脅威として北朝鮮、イラン、中国、ロシアが挙げられている。米統合参謀本部のポール・セリヴァ副議長は、米国防総省はロシアないし中国との戦争が起こりうるとしてそのシナリオを策定していると明言しており、このシナリオで日本が一定の役割を果たしていると仮定しても間違いではないと思う。」
今年、2018年2月7日に日本政府の役人たちからはどんな話が聞けるだろうか? 今年はロシアと日本の相互の交流年であり、これが両国民の互いのイメージを拡大し、相互信頼を新たなレベルに引き上げることを目的にしていることを考えると、返還要求集会はどれほどの規模になるだろうか? こうした信頼なしには平和条約はおろか、二国間協力の別の重要な問題の解決などとても図れるものではない。
ロシア科学アカデミー極東研究所、日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長は、これについて次のように語っている。
2月6日、つまり『北方領土の日』の前日に東京で南クリル諸島の共同経済活動についての露日外務次官級協議が行われたことは注目に値する。この際に双方ともがこの問題を前進させる気構えを指摘している。先日東京で『領土・主権展示館』が開設されたが、これも注目に値する。そこでは、南クリル(北方領土)の領土問題については触れられず、一切展示が行なわれていない。おそらくこれは偶然のことではないと思う。確かに日本にはロシアが投資欲しさにこの問題をニンジンのごとく鼻づらにぶら下げ続けているという意見もある。だがそれは違う。投資とは相互にうまみのあるプロジェクトがある国にしか流れない。
露日交渉プロセスは進んでおり、問題は極めて複雑で、膨大な数の問題を洗う必要がある。双方の側から時に出される声明で問題があたかもわざと引き延ばされているというのは全く正しくない。しかも日本側のプロジェクトへのアプローチにかなりのぐらつきがあることを考えれば当然だ。2018年、2019年はある意味で突破の時期になると思う…。」