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文化パフォーマンスの中で最も盛り上がったのは、徳島県の郷土芸能、阿波おどりだ。精鋭の踊り手20名が舞台上でパフォーマンスを披露し、来場者も参加しておどりの輪ができた。阿波おどり振興協会の山田実理事長は、ロシアの観客はノリのいい人が多いと話す。
山田さん「2016年の夏、モスクワ中心部で行なわれた国際軍楽祭に参加したとき初めてロシアを訪問しました。ロシアに来るのはその時以来です。阿波おどりとは、軽快なテンポ、囃子、カラフルな衣装、着物文化などが全て合わさっているものです。よく外国でパフォーマンスを披露しますが、日本を象徴するようなコスチュームや太鼓、三味線といった和楽器はインパクトが強く、興味をもってくれる人が多いですね。
今回は、日本・徳島の文化という観点から、イベントの目玉として阿波おどりを紹介する機会を得て、とても嬉しいです。基本的にどこの国に行っても阿波おどりをほめてもらえますが、ロシアでは、ロシア人の民族性なのか、エネルギッシュに踊ってくれたり、一緒に楽しんでくれる人が非常に多いです。ロシアは毎年でも来たい国です」
自治体のブースには、様々な工芸品や県産品が並んだ。山形県からは本物の桜が運ばれ、遅いモスクワの春を彩った。昨年、ロシアのクラスノダール地方と友好協定を結んだばかりの山口県は、伝統工芸品「大内塗」を紹介した。山口県の大田淳夫国際課長は「このイベントに来る前、クラスノダール地方へ行き、今後の計画について協議してきました。まずは互いをよく知るために、青少年サッカー交流など、スポーツ交流を進めたいと思います」と話している。
日本食PRの一環として、モスクワで人気の居酒屋風和食レストラン「いちばんぼし」の岸本秀樹シェフによる調理実演が行なわれた。日本食レストランはモスクワ中の至るところにあり、寿司ロールはすでに外食・テイクアウトメニューとして定番化している。
徳島県の海運会社「東海運」は、ロシアビジネスを積極的に推進している。同社の中野浩二さんによれば、ロシア人が重視するのは特定の県産品というよりも、「知名度のある日本産品」であり、味だけではなく、サプリ代わりに鉄分やカルシウムなどが取れる機能性を兼ね備えた食品が好評だという。また、何度も開け閉めできるパッケージなど、ちょっとした利便性、消費者への気遣いも、ロシア人のハートをつかむポイントだ。中野さんは「皆さんが日本に興味をもってくれていると肌で感じました。試食も好評で、今後のビジネスにつながれば」と手ごたえを感じている。
友人と偶然立ち寄ったという俳優のイワンさんは、「もともと日本文化や習慣に興味をもっていましたが、とても日本に行ってみたくなりました。生の鮭がとてもおいしくて、舌の上でとろけました。日本の食べ物はどれもおいしいですね」と話してくれた。