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高岡氏「攻撃の目的も効果も、非常にわかりにくいものでした。米英仏は常日頃から、シリアにおける化学兵器の使用を許さないと主張しているので、何か事件があったときに何の行動も起こさないのは非常に格好が悪いわけです。軍事攻撃をした3か国、米英仏の名誉や面子を守るためというのが非常に大きいと思います」
トランプ氏は、ロシアは2013年にシリアの化学兵器全廃を保証していたのに、ロシアによる失敗の結果が現在の状況を生み出したと指摘した。また、シリア攻撃後、米国防総省は、化学兵器関連施設3か所をターゲットに105発のミサイルを発射したと発表。今回の作戦は「精密、圧倒的、効果的」だったと評価し、シリアの化学兵器計画を数年遅らせたとしている。
しかし高岡氏は、攻撃の効果は限定的なものだったと指摘している。
高岡氏「シリアでは、過去に何年も同じようなことが繰り返されています。化学兵器の使用を防ぐことは今までもできませんでしたし、これからも防ぐことは難しいと思います。シリア紛争の主導権をめぐってロシア・イラン・シリア政府のチームが勝つということはもう確実です。米国がこの流れを変えるためには、もっと大規模な軍事攻撃をし、さらにその後のシリアをどうするのか決め、費用を負担して部隊を派遣したりと、色々なことをやらなくてはいけません。しかし紛争を自力で収拾し、後始末をする力は米国にはありません。ですから、今回よりも強力な攻撃はできないのです」
17日現在、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査団はシリア入りしているが、シリア政府によって化学兵器が使用されたとされる東グータ地区ドゥーマには入れていない。同機関はもともと、米英仏によるシリア攻撃の2日前である12日に、「シリア政府による化学兵器使用疑惑について、14日から現地調査を開始する」と発表していた。まさに調査開始予定日に、ミサイルが発射されたことになる。
高岡氏「化学兵器禁止機関の調査団が活動を始める以前に米英仏が攻撃してしまったということは、調査結果はどうでもよいという意味です。調査団は何らかの報告書を発表すると思いますが、これから先、それが何らかの政治的な意味をもつとは思いません。仮に報告書が出たとしても、米英仏は『シリア政府が悪い』と最初から思い込んでいるので、その思い込みの世界から出てくることはできないと思います」