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近畿大学が得意とするのは、実学教育だ。モノづくり分野の教育プログラムをロシアに展開し、実務型のグローバル人材を育成していく。
細井学長「近畿大学はロシアの11の大学と協定を結びました。これから協定大学との間で、共同研究や、教育プログラムの開発を進めます。企業との共同研究を重視し、実学教育をメインにロシアの大学に伝えていきます。また、ロシアの大学はベーシック・サイエンスに強いので、そこから研究プログラムを取り入れたいと思います。大学は研究だけを行なうのでなく、人材を社会に供給する場所に変わりつつあります。ロシアの大学も遠くない将来、そういう風に変化していくでしょう。」
近畿大学は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、ロシアの経済団体「実業ロシア」と協力協定を交わした。これにより、実業ロシアに加盟する企業が、日露の人材交流を支援することが期待できる。実業ロシアのアレクセイ・レピク会長は、「日本の大学と協定を交わしたのは初めてで、責任を感じています。ロシアの人材が近畿大学を通して日本企業でインターンをするなど、経済交流に寄与する人材育成が進むことを望みます」と話している。
留学プログラムの充実も図っている。短期留学生派遣のほか、今年10月には単位互換を前提とし、半年間ロシアに滞在する中期留学生を送り出す予定だ。教員の間からは、いくらロシアとの交流を進めても、肝心の学生はロシアに興味がないのでは、という声が出ていたが、杞憂だったという。今年度から開講したロシア語の授業は、60名以上の希望者が集まり、大学院生も受講している。
細井学長「学生のロシアへの関心は、思った以上に高いことがわかりました。交換留学生の枠を埋めることができないのでは?と心配していましたが、12名の枠に108名もの応募があったほどの人気でした。今の学生は東西が激しく対立したソ連時代を知らないので、偏見や先入観がありません。スポーツ大国、物理や数学など基礎研究の強い国、という感覚でロシアをとらえています。今年3月に実施した2週間の短期留学では、ロシアが大好きになって、帰りたくないという学生もいました。もちろん、ロシアの受け入れ側が配慮してくれたことはよくわかっています。しかしそれ以上に、学生たちがロシア文化に憧れた、ということだと思います。」
「ロシアやロシア語を学ぶモチベーションが、学生の人生を豊かにしてくれたら」と話す細井学長。ロシアにおける活動を拡大し、学生の可能性を大きく広げていきたいと意欲を示している。
近畿大学細井学長、モスクワ大学サドヴニチイ学長に名誉博士号を贈呈
© 写真 : Asuka Tokuyama