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だがその代わり、夏の訪れを感じさせるような暑さと共に、ロシア人の間で「Kawaii(かわいい)」の流行が拡大していることがより顕著になっている。ロシアにおける「かわいい」の主な例の一つとなったのは、元クリミア検事総長で現在はロシア下院(国家会議)の議員であるナタリヤ・ポクロンスカヤ氏だ。同氏は本人の意思とは関係なく人気者となった。ポクロンスカヤ氏の高い役職と厳格な検察官の制服、そして愛らしい外見との組み合わせの中で可能な限り真剣かつ真面目に見られたいという本人の望みが、まさに「かわいい女性」というイメージで認識されるようになった。
そこには日本の漫画やアニメの影響があるが、それほど大きくはない。恐らくこれはロシア社会で勢いを増している若者の崇拝と、セルフィーの絶大な人気の兆候の一つだ。SNSに自分で写真を公開している人たちは、誰もがかわいいだけでなく、そんな魅力的なかわいい女性として写真に写りたいと思っている。心理学者のオリガ・アレクサンドロワ氏は、通信社スプートニクのインタビューでこのような考えを表し、次のように語っている-
「若者の崇拝は、衣服、靴、バッグ、ジュエリー、化粧品、美容サービス、フィットネスセンターの巨大市場です。これらの商品やサービスの取り合わせは、永遠に若くて可愛らしい女性のイメージを示唆しています。セクシーさはもうトレンドではありません。流行っているのは簡素さ、快適さ、そして子供らしい純粋さです。そのためカジュアルシューズ、短いズボン、プリントが入っていたり、アニメキャラクターが描かれていたり、おもしろい文字が書かれたTシャツが人気なんです。SNSを見てください。やむことのない『うさぎ』、『犬』、『猫』… そしてそんな『かわいいうさぎ』として他人の目に映ろうとする試みがあります。利用者が15歳あるいは55歳であろうと年齢は重要ではありません」。
「シンプルであればあるほどいい、というのが最近のスローガンです。時代はそのリズムを示唆しています。人は徒歩でも、自動車でも、または自転車でも、シンプルで快適な靴の方が楽に長距離を移動できるのです。ですから女性は特別な場合や行事の時にパンプスを履きます。キックスケーターが至る所に普及しているのも、快適さであり、大人の生活に持ち込まれた「子供らしさ」です。みんなが若いままでいることを望んでいます。若くないのであれば、せめて若く見せたいというのが現代人固有のものなのです」。
若く見られたい、可愛く見られたいという欲求が、人々をスポーツクラブやフィットネスクラブへ通わせている。これは良いことだ。しかし恐らくこれはストレスを解消したい、日々の義務を忘れたい、平凡さや単調さから感情的に逃れたい、一時だけでも仕事や家事に追われている大人であることを忘れたいという願いが原因となっている。だがこの現象には裏面がある。アレクサンドロワ氏はこのように指摘し、次のように語っている-
なお興味深いことに欧州や米国では逆の傾向が人気を得ている。ショービジネスや映画界のスターたちは自分のしわや白髪を隠さず、ランウェイを歩いているのはグレイヘアに染めた若くて美しい女性たちだ。