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市民ボランティア向け日本語講座の開講に携わったのは、日本センターと国際交流基金だ。プロジェクトの中心になったニジニー・ノヴゴロド日本センターの濱田韻史さんによれば、受講者は各都市1クラスあたり20名程度とし、地元在住の日本語教師による密度の濃い授業を行なった。対ポーランド戦が行なわれるヴォルゴグラードでは非常に多くの希望者が集まってしまい、人数を減らすのに苦労したという。教材は、この講座のために特別に開発した。授業では座学だけでなく、日本人役とボランティア役にわかれてロールプレイングを行なうなど、実践で役に立つことを重視した。
日本代表の第一戦、コロンビア戦が行なわれるサランスクは、開催都市の中で最も小さい町だ。日本語講座を行なった8都市のうち唯一、日本語教師もいなければ、日本語学校もない。そこで近隣都市(と言ってもロシアは広いので列車で3~4時間かかる)から教師を招き、土日に集中的に授業を行なった。サランスク在住で、日本語講座を修了したアレクセイ・シンチューリンさんに話を聞いた。
講座参加者の中には日本語の基礎知識がある人もいれば、全く初めての人もいて、レベルは様々だ。そこで、コミュニケーションが少しでも円滑に進むよう、日本語会話集「トラブルリスト」が各都市のボランティアセンターに配布される。トラブルリストには日本語とロシア語が併記されているので、指差して意思を伝えることができる。
またサランスクでは、試合前日・当日・翌日に日本人が緊急電話をかけると、日本語ができるオペレーターにつなぐサービスを導入した。番号は「112」(緊急事態の場合)と「103」(救急車を呼びたい場合)だ。万が一不測の事態が起きても慌てずに、ダイヤルしてほしい。また、日本戦が行なわれる各都市には日本大使館の臨時事務所もオープンする。