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声明の第一項には、「米国と北朝鮮は、平和と反映に向けた両国国民の願いに基づいて、新たな関係を樹立するため取り組むと約束する」とある。
美根氏「国家間の関係とは基本的には政府間の関係ですが、米国は、国民の声、個人の考えを政治に反映していくという民主主義を重要視しています。今回の声明にわざわざ『両国国民の願いに基づいて』という言葉を入れたのは、政府間の合意に民間の声を反映させるという意味であり、米国としては民主主義的な観点でこれから両国関係を築いていくことになります。
この点で北朝鮮は、非常に思い切って譲歩したと思います。米国にとって大事な民主主義の原則、国民の声の反映を重視しながら、国家関係を作り上げていこうというのですから。例えば人権問題です。米国は、人権問題が存在すると考えれば、この声明を手がかりにし、北朝鮮との間でこのテーマについて問題提起することができます。」
声明の第二項には、「米国と北朝鮮は、朝鮮半島において永続的で安定した平和体制を構築するため、共に努力する」と記されている。美根氏は、この文面は朝鮮半島統一問題における米国の発言権を実質担保するものであり、驚きに値する内容だと指摘する。
美根氏「米国と北朝鮮は、平和のレジームを作っていくという目的のために、力を合わせると言っています。これはびっくりするような内容で、朝鮮半島の統一というテーマに対し米国は意見を言い、関わっていく、ということを示しています。全く仮定の話ですが、将来もし朝鮮戦争のような事態が起これば、米国は関与する、ということを言っているわけです。その関与の手がかり、根拠となるのが、今回の共同声明です。」
今回の共同声明に対しては、「非核化の具体的な内容がなかった」という批判が高まっているが、美根氏は、この種の批判は時期尚早だとみなしている。
美根氏「両国は、完全な非核化についてはこれからさらに協議を続けると言っています。大雑把に言って、今回の米朝会談は100点満点で60点くらいではないでしょうか。これは今後の協議の行方によって90点にもなり得ますし、非核化の具体的な内容がまとまらなければ30点、20点に落ちる可能性もあります。」
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