長寿社会を世界経済は支えられるのか

2050年までに世界では、蓄積する年金の赤字総額が天文学的な400兆ドルに達し、これは世界経済の3倍以上の規模になると、世界経済フォーラムの専門家は指摘する。壊滅的な危機を回避する手段は、中高年世代に対する国家の義務の軽減しかない。
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400兆ドルは、世界最大の経済大国である米国のGDPの20倍にあたる。そのアメリカ自身、2050年までに総額137兆ドルにのぼる年金支給の支払い義務を果たすことができなくなる。

年金問題で次に深刻な国として世界経済フォーラムのアナリストたちが注視しているのは中国である。中国では、年金財源の不足が119兆ドルに達する(これは同国のGDPの10倍にあたる)。
年金制度の財源危機を抱える上位5カ国には、インド(85兆ドル)、英国(33兆ドル)、そして日本(26兆ドル)も含まれる。

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年金問題の最大の要因は長寿化である。世界経済フォーラムの予測では、今世紀の中頃までに、多くの人々の寿命が100歳まで延びるとしている。どの国の年金制度も、今日、この問題への対応策を有していない。

欧州委員会は、各国の年金制度を保障する州行政機関の3つの優先課題として、「年金受給年齢の引き上げ」「年金受給年齢に達した後の労働の推奨」「早期退職引当金の削減」を掲げている。
世界経済フォーラムの金融・インフラプログラム責任者のマイケル・ドレクスラー氏は、次のように断言した-

「もし、2050年までに人々の平均寿命が85歳になったなら、赤字が年金制度を崩壊させるか、年金生活者が深刻な貧困に陥ることを政府が甘受せざるを得ない」。
欧州統計局は、2030年までに欧州の人々の平均寿命が現在より2.5歳延びると予想している。

欧州委員会は、各国の年金政策における3つの優先的方向性を特定した。1つは年金支給年齢の引き上げ、2つ目は年金生活に入った後の労働促進、3つ目は本来の年金支給開始年齢より早めに年金を支給する繰り上げ支給額の減額。

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経済協力開発機構(OECD)によると、同機構に加盟する35カ国中30カ国ですでに年金受給年齢の引き延ばしが決定された。カナダ、ベルギー、スペイン、ドイツ、オランダ、オーストラリアでは、年金の受給年齢を67歳とした。チェコ、アイルランド、英国は、2014年に働き始めた20歳の国民の退職年齢を68歳とした。

米国では、すでに年金受給年齢が67歳となっているため、これ以上の引き上げは予定されていない。その代り、米国では年金財源問題への対応として、年金所得への課税率を5.9%から8.5%に引き上げるか、年金支給額を16%削減することが提案されている。

金融などを専門とする米エクイタブル・フィナンシャルグループの調査によれば、米国の年金者の富裕層はわずか1%であり、生活を心配することなく自由に暮らせているのは4%。3%の年金者は働き続けており、63%の年金者は、社会的扶助や親戚や友人からの援助、慈善団体による支援を全面的に必要としている。25%の人々は、年金受給年齢前に死亡している。

米国で年金受給者数が最も多くなるのは2020年からで、欧州では2025年である。

OECDは、2060年までにイタリアでは年金受給年齢が70歳まで、チェコでは69歳まで引き上げられると予測している。オランダとデンマークは、それぞれ71.5歳と72.5歳と予測され、最高年齢となる見込み。

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