サッカーW杯7大会の収入と損失

サッカーW杯大会はホスト国にとって、大きな支出の源であると同時に、収益の源でもある。ロシアでコンサルティング業界を主導する企業の一つである「S.A. Ricci」社のアレクサンドル・モロゾフ社長は、サッカーW杯7大会がホスト国にもたらした財政的なプラス面とマイナス面を比較している。
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1994年のサッカーW杯は米国で開催された。既に申請書提出の段階で、米国には国際サッカー連盟(FIFA)の全ての基準に合致する既製のスタジアムが30カ所あった。インフラ改善に向け、米国はおよそ3千万ドル(33億円)を費やしたが、この支出については、販売されたチケットの収益により、既に大会開始までに埋め合わせることができた。様々な専門家らによる評価では、米国でのサッカーW杯開催による長期的な経済効果は、30億~110億ドル(3315億~1兆2千億円)となっている。

1998年のサッカーW杯はフランスで行われた。W杯へのフランスによる支出は、米国大会よりもはるかに大きい16億ドル(1768億円)となった。それにもかかわらず、大会はフランスに3億5千万ドル(384億円)の純利益をもたらした。経済効果は全体で、国内総生産(GDP)の1%成長につながった。

2002年、サッカーW杯は日本と韓国の2カ国で開催された。このイベントに日本は56億ドル(6187億円)を、一方、韓国は25億ドル(2760億円)を費やした。得られた利益、ほぼ12億ドル(1326億円)は、ホスト国が分け合った。日本は後に、複数の巨大スタジアムや新たなインフラの利用で利益を上げることに成功し、結果として全ての出費を補塡したが、韓国ではそうはならず、損失を抱えることとなった。

2006年のサッカーW杯はドイツで行われた。この大会は大きな商業的成功を収めた。同国によって費やされた77億ドル(8507億円)により、結局輝かしい経済効果がもたらされた。収益の総額が140億ドル(1兆5500億円)に上ったのだ。

2010年、サッカーW杯は南アフリカで開催された。同国は35億ドル(3870億円)をこのスポーツイベント開催に費やしたが、国内を訪れたファンの人数が予想の半分以下だったことが原因で、全体で5億ドル(552億円)しか、収益が支出を上回らないことが明らかになった。

2014年のサッカーW杯を開催したのは、莫大な出費で世界を驚かせたブラジルだった。民間投資は110億ドル(1兆2千億円)に上る一方、国家予算からの資金額は96億ドル(1兆600億円)だった。イベント自体からの利益は10億ドル(1100億円)を超えなかったが、長期的な経済効果の総額は、専門家らによる総計では、130億~140億ドルと見積もられている。

2018年のサッカーW杯ホスト国となったのはロシアである。このスポーツの祭典の準備に向け、同国は142億ドル(1兆5600億円)を費やし、この時の民間と国家の投資比率は3対1だった。W杯開催がロシア経済にとって、どのような財政的結果を伴うことになるのかについて、結論を出すのはまだ早いが、FIFAの財政責任者は、ロシアにとって見通しは順調と思われると述べている。

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