ポンペオ氏の訪朝中止:決裂それとも小休止?

6月にシンガポールで行われたトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談は、歴史的なものとされた。同会談に朝鮮半島の瞬間的かつ急進的な変化は期待されなかったが、会談開始から合意文書に署名するまでの約5時間にわたる前例のない交渉が、長年にわたる北朝鮮の核軍縮問題における大きな進展を意味することに期待が持たれた。一方、北朝鮮の軍事プログラムは、日本の安全保障にとって依然として「もっとも重大な脅威」であり続けた。
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日本は状況への懸念を繰り返し表明した。そしてもうひとつ、懸念材料が生まれた。それは、8月27日に予定されていたポンペオ米国務長官の北朝鮮訪問が中止されたことだ。米国は朝鮮半島の非核化で十分な進展がないと考えているため、ポンペオ氏の訪朝が中止された。また8月30日、トランプ氏のツイッターに、ホワイトハウスの声明として、米国は現在のところ韓国との軍事演習に多額の資金をつぎ込む理由を見出していないが、いざ韓国・日本との軍事演習再開となれば、その規模は従来を遥かにしのぐものになる、との見解が掲載された。

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通信社スプートニクは、朝鮮を専門とするロシア人専門家たちに、米外交のこのような駆け引きの理由について意見を聞いた。モスクワ国際関係大学・東洋学科のゲオルギー・トロラヤ教授は、ポンペオ氏の訪朝中止について、トランプ大統領の特徴である政治的な脅迫の要素だとの見方を示し、次のように語った。

「ポンペオ氏が最後に北朝鮮を実務訪問したとき、金正恩氏は自分で直接米国務長官を迎え入れることもしなかった。このようにして北朝鮮の指導者は、6月の合意実現に向けたプロセスの進展具合に断じて満足していないことを示した。北朝鮮は自国の核実験場を爆破し、米兵の遺骨を返還し、ミサイルエンジン試験台を解体し、米国の制裁解除とはいかないまでも、せめて制裁緩和に期待した。だがその代わりに得たのは厳しい制裁、そしてすべての核関連施設を開示し、査察官を受け入れるという完全に非現実的な要求のみだった」

一方トロラヤ氏は、ポンペオ氏はしばらくしてから訪朝するだとうとの考えを示し、次のように語っている。

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「トランプ氏は11月の中間選挙を前に外交政策で何らかの成果を上げなくてはならない。そのため同氏は、北朝鮮の方向で成果を上げることを再び試みるだろう」

ご存知のとおり、6月の米朝首脳会談を総括し、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化を目指す用意があることを表明し、米国は北朝鮮に安全保障を提供することを確約した。一方、シンガポールで行われた同首脳会談の共同声明では、双方の意向が明確に定められていない。これは特に北朝鮮にとって重要だ。行動を起こしたにもかかわらず、未だに安全保障は文書化されていない。

なおロシア科学アカデミー極東研究所コリア研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員は、交渉プロセスを進めることができるのは彼らだけだけだと指摘し、次のように語っている。

「例えば、トランプ大統領の後継者が、共同声明で述べられている意向は米国の国益に合致しないと述べ、無効にしない保障がどこにあるというのか?また、米国の政策を根本的に変えないという保障や、首尾よく軍縮を行った北朝鮮への爆撃を開始しないという保障がどこにあるのか?北朝鮮はそのようなシナリオを完全に認め、その逆を確認したいのではないかと考えている」

一方、アスモロフ氏は、ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問が中止されたことにより、北朝鮮との交渉プロセスは少しスローダウンしたが、すでに達成された成果は撤回されていないとの確信を示し、次のように語っている。

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「トランプ氏が従来通り公然と金氏を批判しているのが目に飛び込んでくる。だが金正恩氏はトランプ氏を批判していない。すなわち、双方には互いに対してそれぞれクレームがあるが、交渉は終わった、関係は緊張の時代に戻りつつあるとは誰も言っていない。今はこれが何よりも重要だ。さらに今の状況は北朝鮮に関する露中の『二重凍結』計画と合致している。ご存知のとおり、同計画は、北朝鮮はミサイルを発射せず、米国は演習を行わず、自分の側から状況を悪化させないというものだ。そしてこの期間が長ければ長いほど、将来的に成功のチャンスが大きくなる」

トランプ大統領と金氏が、結果のためにはどのような譲歩がもっと現実的なのかを最終的に判断するために、小休止を取った可能性もある。

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