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ロシア政府が6月に検討に付した年金改革法案では、年金受給開始年齢が女性は2034年までに現行の55歳を63歳に引き上げ、男性も2028年までに60歳を65歳に引き上げることが提案されていた。この提案に大多数の国民は大きな不満を表し、抗議運動が展開され、ロシア政府だけでなく、大統領本人の支持率も下がり始めた。
プーチン大統領は国民へのメッセージで、年金受給開始年齢の引き上げは女性の場合は現行の55歳から8歳引き上げるのではなく、5歳上の60歳にすると宣言した。こう語る一方でプーチン大統領は、たくさんの子どもを抱える母親に関しては受給開始年齢をそれよりも早めることを提案しており、3人の子どもがいる母親の場合は規定年齢より3年早く受給を開始し、4人の子持ちであれば4年早め、5人以上いる場合は50歳から受給できるという案を検討するよう提案している。
プーチン大統領は男性の年金受給開始年齢については60歳を65歳にするという政府案に賛同した。
プーチン大統領は、「年金受給開始前年齢」の市民という定義を、年金受給開始の5年前の市民とすることを提案している(女性は55歳から)。また年金受給開始前の年齢の被雇用者を解雇したり、その雇用を拒否した場合は、雇用者には行政違反が問われたり、「時には刑事責任」を追及できるよう制定せねばならないとの見方が示された。
「年金受給開始前年齢」のカテゴリーに属する場合は、無償で健康管理を受ける、有給休日を取る権利が付与される、求職手当を引きあげられるなどの一連の恩典が検討される。
ロシアではある一定のカテゴリーの市民には年金受給開始年齢前に年金生活に入る可能性が与えられている。これは重労働に従事していた、健康に問題がある、健康に危険ないしは有害なレベルの労働に従事していたなどのファクターがある場合、認められる。最も早い前倒し年金受給開始年齢も女性の場合で37歳、男性で42歳までと今より遅くなる。これらの前倒し年齢は政府の改革案では女性が40歳、男性が45歳と提案されていた。