日本が満足する米F35戦闘機が台湾には適さない理由とは?

日本は第5世代米戦闘爆撃機F35Aの100機購入計画に加え、共同通信によると、ヘリコプター搭載護衛艦「いづも」を改修してF35Bを導入、同艦で運用することも検討している。2026年までに自衛隊の近代化の一環で行う予定だ。
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スプートニク日本

F35Bの主な特徴は短距離離陸・垂直着陸。F35Bが候補に挙がる理由は、この性能のおかげで、長い滑走路の建設が困難ないし不可能な日本の離島で活用可能なためだろう。近年、日本は離島防衛に大きな関心を割いている。

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およそ同様の理由で台湾もF35B導入を以前検討していた。実は、台湾の空軍基地は中国の中距離・短距離弾道ミサイルと巡航ミサイルの範囲内にあるのだ。中国と軍事衝突が起きれば、空軍基地は真っ先に大量の攻撃を受け、台湾空軍は活動不能になるだろう。この解決策として、F35Bを導入し、同機のために中国大陸からより離れた台湾東岸部に大量の滑走路と地下シェルターを設置することが検討されていた。だが、米誌ナショナル・インタレストが伝えるところ、台湾はF35Bが信頼性に欠け、高価過ぎるとして導入を見送る姿勢を示している。

台湾の導入見送りの動機について、スプートニクはロシア軍事専門家のワシリー・カシン氏により詳細な話を伺った。

「台湾のF35B見送りという決定は、台湾軍が同機の実際の戦闘能力に最高評価を下さなかったという証拠だと捉えることができる。難点は、使用に関する問題や、複数の種類の武器使用における少なからぬトラブルや制限だ。中国人民解放軍が長距離対空ミサイルシステムを起動すれば、F35Bは実際は使用される可能性が高い」

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A Marine Corp F-35B Joint Strike Fighter at Patuxent River Naval Air Station, Maryland
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An F-35B Lightning II with Marine Fighter Attack Squadron (VMFA) 121, prepares to land at Marine Corps Air Station Iwakuni, Japan, Jan. 19, 2017.
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UK F-35B Lightning II

「だがロシアが中国に最大範囲380キロのS400ミサイルを売れば、台湾の全空域が攻撃下に陥る。そうなれば、F35Bの対抗技術の有効性は決して明白ではなくなる。一部諸国と違い、台湾は疑わしい性能の機体に大きな資源を投入することができない」

日本、第5世代戦闘機F35Aさらに100機を米から調達する可能性 新聞報道
F35Bに代わり、台湾はF16V戦闘機を72機導入することを検討しているとする記事を、ナショナル・インタレストが関係者の話として伝えた。F16VはF16戦闘機の最新の改良機で、標的の発見・殲滅性能を高めるレーダー機器と新型電子戦システムを搭載している。カシン氏は、F-16Vが中国軍の前に無条件で優位に立つとは言えないが、同機の導入は台湾により最適だと指摘した。

「殲10Cや殲16のような中国の最新鋭第4世代戦闘機を前に、F16Vが本質的な優位に立つかは明白ではない。だが、中国が高精度ミサイルを発展させるにつれて、台湾防衛における空軍の全体的な意義も徐々に小さくなるだろうことを考慮すべきだ。台湾の今後の優先事項は、台湾中を移動することで中国のミサイル攻撃を生き延びる可能性が高い様々な地上配備型のミサイル防衛(MD)システムになると見てもよい」

アジアで軍事的な食指がより活発に動くようになっており、新種の兵器供給のおかげで世界市場は苦難を経験しておらず、米国のメーカーが潜在的な収益を計算していることは明白だ。残されたことは、全身歯に至るまで武装した上で、軍事衝突を起こさないよう何とかやり繰りするのみだ。

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