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米国が10月に表明した中距離核戦力全廃条約(INF)脱退について、兵頭氏は、これが米露関係のみならず、露日関係にも影響を及ぼしうるとの見解を持っている。その理由を兵頭氏は次のように述べている。
「それはロシアが将来的に北方領土を含めた極東地域にこの中距離核を配備する可能性が否定できないからだ。つまりロシアの中距離核の問題にどう向き合うかが日露関係の新たな問題になる可能性がある。」
「ロシアの中距離核の脅威が出現する。だからこそ日本では、政治的に平和条約を結んで、第2次世界大戦後の両国の対立状況を軽減させる必要があるという議論が巻き起こる可能性もある。」
ただしメダルのもう片方の面では、米国がINF条約の義務遂行を拒否し、日本領内にミサイルが配備される場合も想定しうる。こうした展開の可能性について、CIS諸国研究所の副所長、軍事政治学者のウラジーミル・エヴセーエフ氏はスプートニクからの取材に対し、次のように語っている。
「こうした事態の展開を日本は望んでいないだろう。複雑な対中関係を抱える日本はこれ以上のエスカレートは好ましくない。そうした中、こうしたミサイルが配備されれば、エスカレートはまさに助長されてしまう。」
今年10月、トランプ米大統領は、1987年に締結されたINF条約から米国が脱退する意向だと表明。その理由は、トランプ大統領によると、ロシアが合意に違反しているからだという。また、トランプ大統領はロシアと中国に対し、「軍拡競争」についてともに論議しようと呼びかけた。日本はこうした解決方法に異議を唱え、状況の改善に期待を表した。
ロシア側は米国の非難を否定している。ザハロワ報道官は記者会見の際、「ロシア側は再三にわたり、これ(ロシアに対する条約違反の非難)が、穏やかな言い方をすれば、憶測であると表明してきた。米国のこの立場を裏づけるようないかなる証拠も、我々には結局、提示されなかった」と述べた。