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2015年に始まった両者の共同プロジェクト第一弾である「LIFE ボタニーチェスキー・サード(植物公園)」も、もともとは工業団地。日本式の設計やプロジェクトのコンセプトが評価され、売れ行きは予想を大幅に上回った。現在も建設が続いており、総戸数の6割が売約済みだ。
新プロジェクト「LIFE ワルシャフスカヤ」も、単にマンション建設にとどまらず、地域全体をリニューアルするという壮大なコンセプトのもとに進んでいる。敷地内には高層・低層あわせて18棟のマンションと、カフェやショップが立ち並ぶ並木道、幼稚園、小学校、大型スーパーなど、生活に必要なものが全て揃う予定だ。新築住宅を建てるというよりは、一つの町を作るような大規模なものだ。
日建設計は居住スペースに留まらず、ランドスケープデザイン、ファサードデザインなど、テリトリー全体の設計を手がけた。まだ建設は始まったばかりで、全てが完成するのは2024年の予定だ。規模が壮大なので、通常の住宅建設に比べ倍の工事期間を想定している。
「LIFE ワルシャフスカヤ」の総責任者、セルゲイ・アリャビエフ氏は言う。
「日建設計は、戦略的なコンセプト作りにおいて、プロジェクトのスローガン『灰色から緑へ』に完全にマッチするよう、旧工業団地の隠されたポテンシャルを引き出してくれました。そして我々は、それを非常に正しく現実化できました。正直なところ、日建設計のコンセプトは非常に難しい課題から成るものでした。土地の制限や役所との折衝など色々ありましたからね。例えばテリトリーの中心となる並木道ですが、これは絶対作らないとダメでした。我々はそれを実現するためにあらゆる策を探して、講じなければいけませんでした。この仕事は大変でしたが、日本のパートナーが、より良いものを作ろうというモチベーションと刺激を与えてくれました。スマートシティというのが単に机上の言葉だけでなく、限られた予算の中で実現できたことに満足しています」
「LIFE ワルシャフスカヤ」はワンルームマンションが日本円で1100万円程度と、市内の新築マンションとしては良心的な価格帯だ。コーガン氏は「日本ブランドは高品質のシンボル。お客様は、日本の仕事といえば、最後の最後の細かい点まで気が配られていると受け止めています」と話し、今回のプロジェクトはより広い所得層に受け入れられるだろうと期待を見せた。