スプートニク日本
国土交通省は、従来から都市環境開発分野へのインフラ輸出を積極的に支援してきた。ロシアが抱えるインフラ課題を絞り込み、日本企業の技術で解決するための足がかりとして、定期的に日露都市環境問題作業部会を開いている。
同作業部会の日本側の共同議長である由木文彦審議官は、「スマートシティ構想は作業部会のコア」と話す。ロシア側の共同議長、建設・住宅公営事業省のアンドレイ・チビス次官も、ロシア南西部の都市ヴォロネジで進められている日本企業との共同プロジェクトを列挙し、更に建設的で実用的な結果を出していきたいと述べた。
都市再生機構の中島正弘理事長は日本の大都市の再開発の具体例や少子高齢化をふまえたまちづくりについて講演し、都市再生機構も、モスクワやサンクトペテルブルクといったロシアの大都市における再開発に関わっていきたいという考えを示した。
環境省の松澤裕大臣官房審議官は、日本における廃棄物処理の経過、ごみ処理をめぐる住民同士の対立の歴史や日本式リサイクルについて紹介し、ロシア側に日本へ視察に来るよう呼びかけた。
パネルディスカッションには、ロシアの複数の都市でスマート信号の実証実験を行なっている京三製作所や、ヴォロネジにスマート住宅のモデルハウスをもつ住宅メーカー、ナイス株式会社などの代表者らが参加し、日本企業の具体的な取組みについて発表した。
ナイスのスマート住宅は、住む人の健康にやさしいだけでなく、組立が容易で工期が短いという利点がある。地元のディベロッパーの関心も高く、来年には建売住宅の建設が始まる。
スマート住宅のモデルハウスに外壁材を提供しているのはニチハ株式会社だ。この外壁材は、紫外線に強いコーティングを使っており、雨で汚れが落ちるため、かなりの長期間、きれいな状態を保つことができるのが特徴だ。
同社のモスクワ駐在員事務所長・河原宏保氏は、「ロシア人は美意識が高く、白や明るいブルー、ピンクといった外壁が好まれます。こういう色は汚れが目立つので、色が長持ちし、かつ汚れが雨で落ちる外壁がおすすめです。ロシアのスマートシティに、日本の技術をもって、きれいで安全な外壁を届けられるように努力したい」と話している。