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ロシアと日本の両政府が南クリル諸島に存在するこの希少な金属の採掘に共同で努力することができるかどうかについて、スプートニクは著名な火山学者で火山・地球力学研究所のゲンリフ・シュテインベルグ所長に聞いた。
だがまさに国防および宇宙産業の分野では、高い耐火性を持つこの銀色の重金属は他に代わるものがない。なぜならばレニウムなしにミサイルを発射することはできないからだ。レニウムの融点は3千度を超える。まさにこの特性がレニウムを真に戦略的なものとさせている。
「クリル諸島では、特殊技術を使ってモリブデンからレニウムを抽出する必要がないことが判明した。クドリャヴィ火山は人間に代わって必要なことをみんなやってくれたのだ。レニウム鉱床は直に噴火口で発見された。採取ライセンスもある。しかし残念なことに、ロシアはこれまでこうした有り余る自然の恵みを十分に利用してこなかった。それは1990年代の経済危機によって説明がつくのだが、今は幸運なことにサハリン州にはロシア政府から大きな注目が向けられており、レニウム鉱床の開発は連邦の目的別プログラム『クリル諸島の社会・経済発展2016年-2025年』に含まれている。」
とはいえ、20年以上の遅れは、財政状況だけでなく、イトゥルップ島の厳しい気候と火山による難しい環境にも関係している。特にこうした環境から、活火山であるクドリャヴィ火山の火口でのレニウムの抽出が果たして産業レールに乗せられるのかという民間投資家の疑問と不信を呼んでいる。
しかし シュテインベルグ所長は逆に自信を深めている。それは1910年にこの火山で働いた日本人の歴史的経験が確信を与えているからだ。さらにシュテインベルグ所長は、イトゥルップ島からレニウムを抽出することがまさに、南クリルの共同経済発展へのロシアと日本の最も重要な推進力となり得ると考えている。
いずれにせよ今日、日本はレニウムの大部分を中国から購入しているが、ロシアとレニウムの共同採掘をすることで日本政府は中国政府との競争が可能になる。なぜならば、世界のレニウム年間総消費量は60トン。これに対し、クドリャヴィ火山のガスは地球の内部から地表まで少なくとも年間10トンのレニウムを放出していると考えられているからだ。