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ドイツのハイコ・マース外相は昨年の訪日中、世界の秩序を崩す勢力に協力して対抗するよう日本に呼びかけた。そうした勢力にはトランプ米大統領の保護主義的政策、自国に地政学的バランスを傾けようとする中国の野望、ウクライナに対するロシアの行動が挙げられた。マース外相は河野太郎外相との共同記者会見で「単独では現代の多極的世界で率先した役割を果たすことは難しい。力を合わせれば私たちは、国際社会で自らゲームのルールを設定できるかもしれない」と述べた。河野外相はこれを認め、日独が同じ価値観を共有しており、アジアと欧州で主導的役割を果たしていると述べた。
今回の日独首脳会談では経済に重点が置かれると、ロシア科学アカデミー欧州研究所ドイツ研究センターのウラジスラフ・ベロフ局長が指摘した。
「メルケル氏はドイツ財界代表者の大規模グループを伴っている。時期的にこの訪問は日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)発効と一致する。この協定には両国が経済的に大きな期待をかけている」
「トランプ氏の大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)拒否や米欧関係のその他の意見の相違を受けて、欧州は、中国の増強する軍事力と米国の振る舞いに懸念を抱く諸国から新たなパートナー国と個々の状況において見解を共にする国を探し出し、経済関係を多様化する方向に向かっている。そしてここで日本はドイツの自然な同盟国となる。両国は多くの経済的側面で似ており、トランプ氏の努力に依って弱体化する世界秩序の道へと米国を引き戻したい。なぜなら日欧共に経済的な理由から米国とのパートナーシップからの完全離脱は不可能だが、トランプ氏の攻撃的な貿易経済的ナショナリズムに耐えたくもないからだ」
ベロフ氏は「政治も会談に存在する」と見る。これは例えば今年1月1日からドイツが再び国連安全保障理事会の非常任理事国になり、国際政治で重要性を増したことに関係している。日独は国連安保理の改革、安保理の常任・非常任理事国の拡張を主張している。両国は、現在の安保理形成の原則が新たな世界の現実を反映しておらず、現代の課題に対抗できないと見る。そうした課題の1つは、中距離核戦力(INF)全廃条約の行方だ。
「メルケル首相と安倍首相は会談を終え、詳細に深入りせずにこの問題を解決する必要性を訴える共同声明を出す可能性が高い」