モスクワっ子と前田司郎監督の「おやすまなさい」

露日交流年はまだ続いている。先月、劇作家で俳優、作家で映画監督の前田司郎さんがモスクワを訪れた。劇団「五反田団」を立ち上げた前田さんは、舞台演劇に長年携わっている。2005年には脚本家として映画での活動を開始した。ロシアのオーディエンスは映画を3本鑑賞した。『ふきげんな過去』『(ジ、エクストリーム、スキヤキ』、そして前田さんが脚本を担当した『横道世之介』だ。スプートニク記者が映画と演劇、どちらのほうが重要かと質問したところ、前田さんは次のように答えた。
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「両方とも重要です。映画の方は僕は自分のサイフでやってないんで、別の人のサイフでやってるからあまり自由にできない。舞台は自分のサイフでやってるので、好きなことをやれます」

前田さんは現代ロシア映画に詳しくないと述べた。一方でロシアの古典文学は好きだという。トルストイ、ドストエフスキー、そして特にチェーホフだ。チェーホフ調で構成されているのが前田さんの演劇『おやすまなさい』だ。椎橋綾那さんと宮部純子さんによるユニット・シガール姉妹がこの劇をモスクワで演じた。

この室内劇は俳優2人が演じ、装飾や照明、音響をほぼ全て排している。そのおかげで観客は間近で進行する俳優の演技に集中できる。

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2004年、前田さんは演劇キャリアの初期にこの劇を自ら演じていた。前田さんによると、劇は個人的な出来事から生まれた。若いころ、夜遅くに家に帰ると彼女がもう寝ていた。これに対し前田さんは落ち着かない気分を味わったという。2016年、椎橋さんと宮部さんは前田さんの了承と応援を受け、シガール姉妹としてのデビュー作にこの劇を選んだ。『おやすまなさい』は日本ですぐに人気を集めた。2018年2月には横浜で演じたこの劇で、TPAMフリンジに参加した。

『おやすまなさい』は年齢、性別、その他一切に関係なく、どんな国でも演じられる。これは眠りたい人と眠ってほしくない人の話だ。深い意味では死にたい人と死んでほしくない人の話として受け取ることもできる。

モスクワで『おやすまなさい』を演じることについて、宮部さんと椎橋さんはスプートニクのインタビューに応じて次のように述べた。

宮部純子: [人は寂しいものだし、作家の前田さんは寂しがり屋なんだということがすごくわかる作品だと思います。姉妹以外にも、そういう関係性が見れたら良いなと思っています。姉妹以上に親子とか、恋人はちょっと難しいかも知れないけど、こういう風に変化して観られてもらえたら嬉しいと思います」

椎橋綾那:「ロシアの人はどういう反応かなという怖さはありました。でも今日やってみて『ああよかった』と。本当にありがたい反応でした」

今回のイベントを主催したのは国際交流基金。

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