ゼレンスキーVSプーチン ロシアとウクライナの関係はどうなるのか?

ウクライナ中央選挙管理委員会は4月30日、大統領選挙決選投票の公式結果を公表、ヴォロディーミル・ゼレンシキー氏が新大統領となることが確定した。ゼレンシキー氏はすでにロシアのプーチン大統領と論戦を展開している。両氏の対立は、ロシア・ウクライナ紛争を悪化させるのだろうか?またウクライナ新大統領はどのような政策を取るのだろうか?通信社「スプートニク」の評論家、アンドレイ・イリヤシェンコ氏が考察する。
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コメディアンのゼレンスキー氏は、ウクライナ大統領選で大差をつけて勝利した。4月23日に公表された開票率100%のデータによると、ゼレンスキー氏の得票率は73%以上で、ウクライナ全域で勝利した。

この数字は、ロシアとの協力の代わりにEUとの協力をスローガンに掲げて政権に就いた現職のポロシェンコ大統領に対するウクライナ人の意識を反映している。ポロシェンコ氏が過去5年間に進めた政治および経済路線の結果は、有権者たちを明らかに失望させた。

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2013年の国内総生産(GDP)は1310億ドルだったのが、2017年には1120億ドルに減少した。2018年末のウクライナへの外国直接投資は、537億0400万ドルだった2014年と比べて40%減の322億9100万ドルとなった。対外債務は、2013年末には655億ドルだったのが、ポロシェンコ政権下で122億ドル増加し、2018年に767億ドル(対GDP比64.4%)に達した。問題は、ウクライナがEUで新たな市場を獲得できず、ロシア市場を拒否したことにある。

過去5年間でウクライナの人口は300万人減少した。欧州で最も貧しく、最も腐敗している国として公式に認められているウクライナは、EUと国際通貨基金(IMF)の融資のみでやりくりしている。

またウクライナは、ポロシェンコ政権下で最も重要な領土であるクリミアを失った。クリミアの住民は、住民投票でロシアとの再統合を望んだ。またウクライナ東部の工業地域の一部では、そこに住むロシア語話者が民族主義的なウクライナ指導部からの自治権獲得を目指している。交渉の行き詰まりは、ウクライナの政治的破綻の主な兆候でもある。

なおウクライナ大統領府は2018年11月、「ポロシェンコ氏は、日本の安倍晋三首相から個人的なメッセージを受け取り、その中では、国内外の挑戦および脅威との戦いにおけるウクライナの努力が高く評価されている」と発表した。

ウクライナ大統領のホームページによると、2013年に申告されたポロシェンコ大統領の収入は190万ドルで、2018年には5600万ドルに達した。

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ほとんどの政治アナリストは、今回の大統領選挙は抗議的な性格を有していたとの確信を示している。41歳のコメディアン、ゼレンスキー氏は、腐敗したウクライナのエリートと一線を画し、才能あるコメディアンとして幅広い年齢層に人気があり、その収入源は完全に合法的で明らかだ。これらが有権者を強くひきつけ、彼らはゼレンスキー氏の選挙公約の極めてあいまいな内容には関心を払わなかった。

米国、ドイツ、フランス、日本、EU、NATOの指導者たちは、ゼレンスキー氏の勝利を祝福した。だがロシア大統領府は祝福を急がなかった。ロシアのペスコフ大統領報道官は厳しい声明を表し「プーチン大統領からゼレンスキー氏への祝福についても、また共同作業の可能性について述べるのも時期尚早だ」と指摘し、「なぜなら具体的な事柄、具体的な行動で判断する必要があるからだ」と説明した。

プーチン大統領は4月24日、ウクライナ東部ドネツク州とルガンスク州の特定地域の住民がロシア国籍を取得するための手続きを簡素化する大統領令に署名した。

同日、ポロシェンコ大統領は、これは「ウクライナに対する侵略の次の行動に向けたロシア大統領府の準備であり、それはウクライナのドンバス(ウクライナ東部地域)の併合あるいはウクライナ国内にロシアの飛び地をつくることだ」と述べた。

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翌日25日にはウクライナ最高議会が、ウクライナ語の使用の義務化に関する法を採択した。ポロシェンコ大統領は、法律の承認を勝ち取った。ポロシェンコ氏の支持者らは、この法律がウクライナ語の発展を保障すると考えている。一方、反対派は、他の言語を話す人々に害を及ぼすと考えている。

なおポロシェンコ氏とゼレンスキー氏は、会う用意があると共に表明しているが、具体的なことについては言及されていない。

ゼレンスキー氏は政党を率いたこともなければ、公職に就いたこともなく、閣僚に選ばれたこともない。ウクライナの新大統領は、PRプロジェクトであり、その真の目的はウクライナの政治システムのリセットだ。また前例のない汚職からウクライナを解放し、制御性を高め、国民の不満を抑えることもその目的かもしれない。だが経済政策の抜本的な変化は起こらないだろう。なぜなら国にはお金がないからだ。ロシアとの関係における政策も変わることはないだろう。これは欧州で最も深刻な紛争の解決には期待できないことを意味している。

スラブの大国であるロシアとウクライナの対立は、西側が現在行っているロシア封じ込め政策の鍵となる要素である。だが同政策に使われている資金はすべて、ウクライナ国民のものである。

 

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