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インタビューによると、2025年までに米、日、韓、豪を合わせて200機以上のF35戦闘機が太平洋地域には配備される予定だ。これらのF35は攻撃のほか、偵察としても運用される。
これは太平洋地域におけるパワーバランスの長期的な大変動を反映した、実に興味深い発言といえる。
ブラウン空軍大将の発言が意味するのは、中国と北朝鮮によるミサイル戦略の勝利だ。両国は弾道ミサイルを開発しており、グアムまでを射程に収めている。その例として、中国は2013年にDF26を配備したが、そのミサイルはなんと「グアム・キラー」の名を冠している。北朝鮮には同じ射程を誇る「北極星2号」が配備されている。また、2017年に北朝鮮がミサイル実験を実施した際、日米両国は発射準備の様子を見逃しており、ミサイル攻撃による奇襲の可能性はいまだ残されている。
つまり、この地域における空軍の主要基地(特に日本や韓国)はミサイル攻撃の脅威下にあり、米軍司令部は対応を迫られている。
そして米国はF35に期待しているが、主に偵察機としての運用が想定されている。つまり、F35は温存し、実戦投入は避けたいのが本音だ。
さらに退役軍人のローレンス・スタッツリム少将によれば、米国が保有する戦闘機の数は減少傾向にある。1990年に2893機だったその数は1755機まで減少し、そのうち爆撃機は175機に過ぎない。スタッツリーム少将によれば、攻撃用に配備されているのは最新型が400機、B2ステルス爆撃機は20機以下だ。
これは米国を含む、ほかの国々でも運用されている戦闘機の総数で、太平洋地域に配備されているのはその一部に過ぎない。一方、中国人民解放軍が保有する戦闘機の数は2000機(そのうち600機が最新型)に達しており、さらにこの戦力はいずれも太平洋地域に集中している。
第二次世界大戦の歴史が示す通り、制空権を失った側の敗北は決まっている。
今日の太平洋地域におけるパワーバランスは米国とその同盟国にとっては憂慮すべきものであり、その状況は悪化の一歩をたどる。こうした状況を背景に、米国側が太平洋地域の戦略でラディカルな手を打つことも想定する必要があるだろう。