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まず注目したいのは、ブルームバーグ記者が情報源とし、記事の結論を導いたのが、3名の匿名の人物であるということだ。
とすると、現在の世界の秩序を支えているものを揺るがすことのできる情報は、簡単に漏れてしまい、それらの情報を一流メディアが利用することが普通になっている、ということである。
ロシアの研究機関、メディアメトリックスセンターによれば、「ワシントン・ポスト」と「ニューヨーク・タイムズ」が引用した匿名の情報源は、この8年間で増大した。
もし検索システム「グーグル」を使い2011年の1月1日から2018年の12月31日までの各新聞社サイトに注目すると、「名のない情報源」「アイデンティファイされていない情報源」「匿名の情報源」といったキーワードで1303件ヒットした。
トランプ氏が日米安保条約に反対とは、真実なのか、それともフェイクか?
© 写真 : Mediametry.ru
大部分の記事は、媒体の特性が示しているように、米国の国内政治に関することだ。だがそれ以外にも指摘に値するのは、記事のタイトルだ。現在の大統領であるドナルド・トランプ氏の名は、(309回)前大統領バラク・オバマ氏(17回)の名よりも、ずっと登場回数が多い。研究対象になった期間は、2人の大統領がそれぞれの期間で現役だったにもかかわらずである。
匿名の情報源による記事というものは、いつもその真実性に疑問が残るものであり、真実かどうか確かめるのはとても難しい。匿名情報源は多くの場合、フェイクニュースだという印象を読者に残す。今回の、雷のような衝撃を与えたブルームバーグの報道も、例外ではない。
トランプ氏が、反トランプのフェイクニュースを米国メディアが捏造しているとして批判していることを考慮すれば、このような情報流出が、安倍首相との面会を控えたG20の直前に、トランプ氏の利にかなうような形で行なわれたとは考えにくい。
だとすると、一体何のためなのだろうか。日露の両首脳に不信感を植え付けるためだろうか。それが必要なのは、一体誰だろうか。