スプートニクはこれについて、ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長に取材し、ロシアと韓国が日韓関係の緊張を機に貿易収支における経済ポテンシャルを拡大し、投資環境の活性化に成功することができるかどうか、見解をたずねた。
「ロシアが日韓の意見の相違の機に乗っても、これがロシアが思うような長期的な効果をもたらすとは思えない。日韓の『歴史認識の違いによる論争』もことあるごとに再燃してはいるが、これも時間がたてば必ず『鎮火』されている。このことからこの二国間に生じた摩擦をあてにして自国の経済利益を伸ばそうなどとするのは全く理想的ではない。後日、仲直りした双方から批判の嵐にさらされるだけのことだ。これ以外にも日韓の経済協力において多くの面で障害となっているのがロシアに対する制裁であり、米国が韓国にかける圧力だ。韓国が米国のアジア太平洋地域における戦略的パートナーであることは忘れてはならない。」
ジェビン所長はこう語る一方で日韓の摩擦が現在、米中間で起きている正真正銘の貿易戦争の規模に達することはないとみている。韓国の実業界がまさに化学工業分野で期待をかけているロシアとの協力とは単に、これまでに達成されていた合意の続きであり、その実現に今、好機が訪れただけの話だというわけだ。
2018年のロシアと韓国の間の貿易収支は240億ドルを上回っており、前年比で28.85%増と前向きな動きを見せている。このほか、2019年6月ラブロフ外相は韓国との間に自由貿易圏の合意をめぐる共同作業を開始したことを明らかにした。