「F-35の主要な特徴は、まるでニューロン網のように動いているということだ。この戦闘機によって収集された全ての情報は、米国の、特別な分析センターに集まっていく。F-35は実質、無線偵察で得た、飛行している国々で得た情報を、米国のセンターに提供している。米国防総省としては、技術的な面でも、偵察で得た情報という面でも、日本のような、戦略的パートナーである国々とさえも分かち合いたくはないのだ。米国が最も懸念しているのは、最新の技術情報が、潜在的な敵国、例えば中国やロシアなどに漏洩してしまうことだ。」
米国は、日本をF-35の開発に組み入れてしまうと、F-35のクライアントである他の国々も、米国戦闘機開発プログラムの発展にとって将来的に大きな役割を果たそうと要求してくるのではないかと考えている。
F-35を買うのはアリだが、一緒に作るのはナシ:なぜ米国防総省は日本をパートナーと認めないのか?
© AP Photo / Michael Sohn
またクヌトフ氏は、米国防総省は、すでにできている軍事プロダクトを売るほうが、軍事的機密を分かちあうよりも米国の利にかなうと計算済みであるとみている。
「F-35をパートナーなしで作ることは、米国の軍事プロダクトの価格を高い水準で維持できることを意味する。米国防総省は、日本向けにも、他の国向けにも、値下げしたくはないのだ。例えばパイロットのためのヘルメットひとつが40万ドルかかり、それぞれのパイロットに合わせて個別に作られている。そしてF-35のコンピューターシステムのアップデートは1年に最低でも1回は行われる。つまり、F-35は、何十年と使うことを想定して、それに対応するためのアップデート前提で作られている。これはロッキード・マーティン社を含む米国の軍事産業にとって、稼ぐための非常に都合のよい方法なのだ。F-35を購入した国は、資金面で米国に隷属することになる。なぜならアップデートしなければ、使用そのものに問題が出てくるからだ。」
F-35を買うのはアリだが、一緒に作るのはナシ:なぜ米国防総省は日本をパートナーと認めないのか?
© AFP 2023 / Evert-Jan Daniels / ANP
こういったビジネスアプローチと高すぎる価格は、すでに多くの潜在的なクライアントを怖気づかせている。ロッキード・マーティン社の副社長は、F-35の第五世代の購入を拒否したドイツの決定に対して、F-35を有している他の国々と同一レベルに留まる妨げになる、との見解を示している。しかし、オーストラリア、イタリア、カナダといった国々も、F-35を購入しないと決定した。