核兵器禁止条約は、2017年7月7日に122か国の賛成で国連において採択された。しかし世界唯一の被爆国である日本は「核保有国の協力がなくては核兵器のない世界は実現できない」として署名しなかった。
核保有国の米国・英国・フランスは共同声明を発表し、「国際的な安全保障環境の現実を無視している」として、核兵器禁止条約を批判した。ロシアの外交官で国連軍縮会議の元事務局長、セルゲイ・オルジョニキーゼ氏も当時、スプートニクのインタビューに対し「核大国の参加なしに、核分野で何らかの決定を下そうとするのはナンセンスだ」との見解を示した。
核兵器禁止条約が日本や核保有国抜きで採択された直後のインタビューで、広島の被爆者・山本定男さんは「世界の核大国である米国もロシアも、米国の核の傘の下にある日本も、核兵器禁止条約に参加していません。私たち被爆者にとってこれは本当に悲しいことです。核保有国は率先して核兵器をなくしていこうと声を上げてほしい」とコメントした。
原爆投下から74年、広島原爆の日:被爆者が訴える核兵器禁止条約参加は実現するか
© 写真 : Hiroshima Peace Memorial Museum
多くの被爆者が、核兵器のない平和な世界の実現のため、現在に至るまで啓発活動を行ってきた。
小学校5年生で、広島で被爆した山田玲子さんは、あと数日で疎開、という時に学校の校庭で被爆した。
全身に火傷を負った人々が山田さんの町に逃げてきて、目の前で亡くなっていった。
「遺体は名前を確認されることもなく、校庭に集められ、燃されてしまいました」と語る山田さんは、悲劇を思い出す辛さと、伝えなければいけないという使命感の両方を常に感じ続けてきた。
原爆投下から74年、広島原爆の日:被爆者が訴える核兵器禁止条約参加は実現するか
© 写真 : Toyukai
松井市長は、2017年、2018年の平和宣言では、政府に対して核兵器禁止条約への参加を求める文言を入れてこなかったが、今年は被爆者の思いを汲み取り、具体的に政府へ要請する。