ホルムズ海峡は、世界の中でも最も重要な海上交通の要衝の一つである。スプートニクは日本が有志連合に参加する是非とその根拠について、専門家らにコメントを求めた。
イラン、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、カタール、そしてアラブ首長国連邦というOPEC加盟国にとって、ホルムズ海峡は、日本を含む諸外国に石油を輸出する唯一の交通路である。ホルムズ海峡が閉じられてしまえば、世界的な経済危機、中東における戦争を誘発してしまうかもしれない。
ロシアの軍事アナリスト、ユーリー・クヌトフ氏は、日本政府が現在とっている中立という立場を変更する可能性を否定していない。
ロシア政府付属財政大学の准教授で政治学者のゲヴォルグ・ミルザヤン氏は、米国の提案に対して現在日本がとっている態度は予想できるものであり非常に論理的であると話す。
「日本には、米国の反イラン有志連合に入るべきではない多くの理由が存在する。まず第一に、米国は、技術的あるいは軍事的援助を必要としていない。米国政府は、ホルムズ海峡におけるイランとの対立を最大限煽るために、同盟国の支持を得て、イランと相対する国の数を増やそうとしている。そのため、日本の政治的参加を必要としている。トランプ米大統領はイラン政策で多くの問題を抱えている。世界の国々は彼の反イラン政策を理解せず、参加もしていないからだ。日本はこの地域で全く紛争を望んでいない。日本は中東からのエネルギーに依存しており、日本に石油を運ぶ船舶のうち8割はホルムズ海峡を通過しているからだ。それに日本は、米国とイランの仲介的な機能を果たすことで、世界政治の中で点数を稼ごうとしている。もし日本が反イラン有志連合に参加してしまったら、その野心的な外交プランは頓挫してしまう。それに、憲法上も、今のところは、自衛隊は軍事紛争に参加することはできない。」
米国はじゅうぶんな数の国の賛同を得られず、反イラン連合は成立しないだろうと予想するのは、ロシアの軍事専門家で「軍事政治分析ビューロ」の編集長、アレクサンドル・ミハイロフ氏だ。
「米国はあまりにも多くのものを同盟国に要求している。それにもし応じたら、それら同盟国は、対中国・対イランにおける潜在的な抗争を同時に抱えてしまうことになる。米国はホルムズ海峡で反イラン有志連合を作りながら、同時に、日本を含むアジア太平洋地域の国々に、中短距離の米国のミサイルを配備するよう説得している。
それらのミサイルが、まず第一に、中国を抑制するためのものであることは秘密事項ではない。もちろんそれは日本自身の国益に叶うものではあるのだが。しかし、反イラン有志連合に日本が参加することはとにかく無意味で危険なことだ。現在の情勢は2011年のリビア情勢を思い出させる。当時、国連はイランを国際的に孤立させ、内戦に導いた。現在の米国は、イランに対して当時のリビアと同様の計画を描いているかもしれないが、米国の多くの同盟国は、新しい戦争を欲してはいない。」