ジェトロ佐々木理事長「ビジネス障壁、ロシアと共に解決の道探る」

5日、ロシアのウラジオストクで開催中の第5回東方経済フォーラムに参加した日本貿易振興機構(ジェトロ)の佐々木信彦理事長はスプートニクのインタビューに応じ、ロシアがさらなる投資を呼び込むためには、進出企業がロシアで直面する諸問題を解決することが重要だと強調し、そのためにジェトロはロシア側と協力する用意があると話した。
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かつて大手商社以外には、遠い存在の国だったロシアだが、佐々木氏は「最近の日露関係の緊密化に伴い、医療、外食、住宅関係など様々な産業で、ロシアに関心を持つ企業が少しずつ増えている」と指摘する。ジェトロは、2016年5月に安倍晋三首相がプーチン露大統領に提示した「8項目の協力プラン」の中で、「日露中小企業の交流と協力の抜本的拡大」と、「ロシア産業の多様化促進と生産性向上」の2分野の発展を視野に、ビジネスサポートを行っている。

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ジェトロは2016年12月から、ロシア進出を希望する中堅・中小企業を対象に、ロシアビジネスの専門家によるハンズオン(継続一貫)支援サービスを開始した。佐々木氏によれば、これまでに20件の成功案件があり、そのうち10件がロシア極東での案件だ。工場の設立、食料品や日用品の輸出、日本食レストランなど、分野も多岐にわたっている。また、個別支援のみならず、中堅・中小企業を対象としたビジネス交流会を実施し、そういった交流の場から、具体的なビジネスも生まれている。

進出後もフォローが欠かせない。ジェトロが実施した、ロシア進出済の日系企業を対象にしたアンケートでは、不安定な為替や社会情勢、行政手続きや税制・税務手続きの煩雑さ、法制度の未整備あるいは不透明な運用など、様々なビジネス阻害要因があることがわかっている。

佐々木氏「こういった問題は、新興国ならどの国でもあることで、ロシア特有というわけではありませんが、進出している立場からすると大変深刻な問題です。これらの問題にきちんと答えることが、次の投資の呼び込みにつながります。ただ、問題が上がってくることは良いことで、ビジネスを全くさせてもらえず、問題さえ上がってこない国もあります。問題点が多いということは、それだけ直すべき点が多くあり、それらを改善すれば、進出企業が成功し、それがまた新しい投資を呼び込む力にもなるということです。ジェトロはそういう声をまとめてロシア側に届ける立場にいますが、進出企業の声をよく聞き、ロシア側と一緒になって解決の道を探っていければと思っています。我々は、すでに進出している企業を大事にしてもらいたい、ということをロシア政府に訴えていきます。」

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また佐々木氏は、諸外国の中小企業は、約20パーセントの割合で海外展開をしているのに対し、日本では約370万社の中小企業のうち、5パーセントしか海外との関わりがない、と指摘。地力はあるのに、海外へ出ていく機会がない企業をサポートしたいと考えている。6月に大阪で開催されたG20では、日露両首脳が「日露地域間交流年」の実施を発表。日露交流には必ずしも東京やモスクワを経由する必要はない。これからは、地域同士の結びつきの強まりが期待されている。佐々木氏は、「ジェトロのネットワークで、国内のどこからでも、海外と、ロシアと直接つながることができます。海外ビジネスを始めるには、知る・行く・会うという3ステップが重要なので、このステップをもっと踏んでもらうための情報提供を心がけていきたい」と話す。

佐々木氏は2012年のAPECで初めてウラジオストクを訪れ、今回が3度目の訪問となった。この町の印象について「数年ごとに来ているので、来るたびに発展しているのが非常に伝わり、その発展の力に感じ入っています。もっと多くの日本人に、極東ロシアの魅力と、親日国がこんなに近くにあるのだということを知ってもらいたい」と話し、そのためにジェトロは、ビジネスの観点から、より日露のつながりを太くする仕事をしていく、と決意を語った。

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