フィリピンの首都マニラ郊外のバヤーナン村では、プラスチックごみ2キロにつきコメ1キロがもらえるとあって、ますます多くの住民がプラスチックごみの収集に参加し、それと引き換えにコメを無料で受け取っている。フィリピンではコメ1キロは1ドル(108.19円)にも満たないが、しかしこれはこの村の住民にとって高価だ。この村では8月だけで213キロ以上のプラスチックごみが回収された。回収されたごみは行政に引き渡され、リサイクルにまわされる。
人力車ドライバーの夫と4人の子供を持つベロニカ・ドロリコさん(49)は、早朝から自分の地区で捨てられたビニール袋やペットボトルを探し歩いている。ベロニカさんは1日で14キロのプラスチックごみを集め、7キロのコメを受け取る。それだけでベロニカさんは家族の1週間分のご飯を用意することができる。ベロニカさんは、もとはと言えば、無料でコメをもらい、わが子の腹を満たそうとプラスチックごみを集め始めたものの、でも今は、周囲の環境がだんだんきれいになっていくのを見て、自分自身が喜びを覚えていると語っている。
米国環境保護の非営利団体「オーシャン・コンサヴァンシー(海洋に関する管理委員会)」の報告によると、フィリピンでは年間270万トンのプラスチックごみが発生し、そのうちの50万トンが海洋投棄されている。プラスチックごみが原因の環境汚染ランキングでは、フィリピンは中国、インドネシアに続いて第3位に位置している。今日に至るまで、フィリピンでは固体廃棄物のリサイクルに関する法律がまだ順守されておらず、包装材の生産もコントロールされていない。