ブロブは驚くべき生物だ。目がないのに食べ物を見つけ、口もないのに食べる。そして、胃袋もないのに食べ物を消化する。ブロブにはオスとメスの性別はないが、なんと720もの性別を持つ。ブロブは個々の生物として分裂し、また1つの塊に合体することもできる。ブロブを半分に切ると2分で完全に合体する。高レベルの再生能力だ。
ブロブは全く動かないように見えるが、1時間に4センチの速さで動く。
さらに、ブロブは迷路の出口を見つけ、新しい情報を難なく記憶できる。つまり学習能力がある。研究者らは、2個のブロブを合体させた場合、より経験豊富なブロブがもう片方のブロブに情報を伝え、伝えられた方はそれを覚えることに気づいた。また例えば、ブロブは危険な物質をも記憶し、それを回避することもできる。
大自然の神秘
このような単細胞生物が出現したのは5億年前と考えられているが、初めてその存在が話題になったのは1973年5月、米テキサス州の女性が自宅裏庭で急成長している「黄色の斑点」を発見してからだ。今日では、ブロブは通常ヨーロッパの森林土壌にみられる。温度19~25度、湿度80~100%の環境で生存可能だという。
パリ動物園は国立自然史博物館の一部であり、同館ブルーノ・デイビット館長は、「ブロブは生き物であり、自然界の謎の1つです。これが何であるのか今は何もわからないが、将来的には解明されるかもしれません」と語っている。