その航空機については一部が明らかになっている。これこそが中国の最新無人偵察機WZ-8だ。
エアインテーク不在と2つの円錐ノズルは、本機はターボジェットエンジンではなくロケットエンジンを装備していることを物語っている。エンジンは液体燃料と酸化剤を用い、空気に左右されず成層圏上層の高度40-50km、あるいは中間層の高度50km以上に到達することができる。これは現在の戦闘機をはるかに凌ぐ高度だ。中国側の情報によると、WZ-8機は20-30秒でマッハ3の速度に達し、2分でマッハ5に到達することができる。
WZ-8は新型高高度・音速無人戦闘機の初代となるだろう。空中での優位性を獲得できるかの鍵は、高度と速度にある。しかしターボジェットエンジン機は速度も高度も限界に達している。F-16はマッハ1.7まで速度を上げ、高度18.5kmまで達した。最新F-22はマッハ2.25、高度20kmを出すことができる。
このことから、従来の最新航空機でもWZ-8がより高く、速く飛翔した場合は撃墜できないことが分かる。さらに、WZ-8はアメリカの最新型対空ミサイルSM-6(最大高度33km、速度3.5マッハ)に対しても脆弱性はない。急降下と最大速度により、WZ-8は対空ミサイルを簡単にかわすことができるのだ。
また、要撃機あるいは爆撃機となるようなWZ-8改良版を開発することも十分可能だ。
このような爆撃機は、GPS(全地球測位システム)で標的を攻撃する(中国は独自の「北斗衛星測位システム」をもっている)高精度、TVモニター型あるいはレーザー目標指示装置を備える可能性もある。高度35-40kmでも標的と捕える能力、急降下、最大5マッハの加速を備えた爆撃機であれば、航空母艦群の防空システムを突破する可能性は大いにある。ロシアのKAB-500と特性が同じ誘導爆弾は、フリゲート艦を沈め、駆逐艦に大打撃を与えたり沈めることも可能である。高精度爆弾は軍艦・船舶だけでなく、空軍基地や防空システム、また戦車に対しても使用することができる。
中国がロケットエンジン搭載無人偵察機改良版の開発に成功し、それを20-30機程製造し、最低限の戦闘準備態勢を整えれば、中国人民解放軍空軍はパワーバランスを大きく、自国に有利に変えることになる。戦争が起こり得れば、WZ-8改良版は確実に、アメリカの最新戦闘機狙撃および空母攻撃に向けられるだろう。その後は、極めて大規模な中国人民解放軍空軍が仕上げの仕事をするだけだ。