過酷な自然条件を前提にした自動運転車の技術コンクール、ロシアで初開催

10日、ロシアのモスクワ郊外で、厳しい気候条件での走行を前提とする自動運転車の実用化に向けたコンクールUp Great「冬の町」が開催された。このようなコンクールがロシアで行なわれるのは初めてだ。ロシア中から30チーム以上の応募があり、その中から選抜された5つのチームが、それぞれの技術力を競った。しかし、どのチームも目標としていた制限時間内にコースを走りきることはできず、更なる技術向上が必要なことがわかった。
この記事をSputnikで読む

自動運転車は、複数のチェックポイントを通過しながら、全長50キロメートあるコースを3時間で走り抜けることを目標としていた。優勝したのはサンクトペテルブルクのチーム「StarLine」だ。このチームはコースを2時間47分で走ることができたが、信号無視など様々な交通ルール違反のために73分がペナルティとして追加され、目標達成とはならなかった。

とは言え、世界中の誰も達成していない過酷な条件にチャレンジすることは大いに意義がある。ロシアベンチャーカンパニーのアレクサンドル・ポヴァルコ社長は「技術的な壁を超えることはできなかったが、自動運転車の分野でエンジニアや開発者のプロフェッショナルなグループを作るという課題は達成できた」と話す。

ロシア大統領府でデジタル・技術発展に関する諸問題を担当するドミトリー・ペスコフ特別代表によれば、このコンクールに参加したチームはすべて、すでに自分の会社を立ち上げているか、あるいはグローバル・カンパニーからの提案を受けている。あるチームは、来年、日本で自社の技術力を試すことになっている。それは良いのだが、ロシアとしてはあまり高度な専門人材を流出させたくはない。ペスコフ氏は「我々の課題は、このコンクールに参加した200人のエンジニアが、ロシア国内で、自分を実現できるようになることだ」と話している。

スコルコヴォ財団のイノベーション担当、シニアヴァイスプレジデントのキリル・カエム氏は、将来的には自動運転車は渋滞を減らすだけでなく、人間のミスによる自動車事故を減らすことができるとの見解を示し、自動運転車をロシアの冬の条件に対応させることは非常に重要な課題であると話している。

技術コンクールUp Greatは、ロシアべンチャーカンパニー、スコルコヴォ財団、戦略イニシアティブエージェンシーが共同で開催している。一連のコンクールでは、世界でまだ解決されていない高度な技術的課題が競われ、世界の技術の壁を破った優勝者には、高額の賞金が贈呈される。

関連記事

コメント