待ちに待った契約
ポーランド政府はこの契約締結に並々ならぬ努力を費やしてきた。ポーランド政府のマリウシュ・ブワシュチャク国防相は契約締結を実現するため、これまでに米国を何度も訪問してきた。契約書の署名式にはアンジェイ・ドゥダ大統領も出席する模様。
この契約についてブワシュチャク国防相は次のように語っている。
「かつてポーランド軍はこれほどの最新兵器を手にすることはなかった。これは軍事兵器に関していえば、トップ・オブ・ザ・トップ。ほかの戦闘機など足元にも及ばない性能だ。これで他国の空軍に対して優位に立つことが可能となる」
また、ブワシュチャク国防相は仮想敵国についてコメントした中で、「我らがポーランドに手を出そうものなら、すぐさま撃退されるだろう、この戦闘機はそれほどの性能を誇る」とした。
購入価格
ポーランドはこの契約締結に際して、一定の価格交渉に成功したものの、同国の国防費はその大半がF35の購入費用に充てられる。米国側は当初、65億ドルの請求額を突き付けたが、ポーランド側が交渉した末、価格は46億ドルで決着した。これはポーランドが国防費に割く年度予算の大半に相当する。政府の発表によれば、同国は国防軍の最新化に年間で125億ドルを予算として見込んでいる。
MiG29の代替機
ポーランド政府はF35をソ連製のMiG29戦闘機に代わって配備することをこれまで度々明言してきた。MiG29はポーランド空軍で今もなお活躍している。最新情報によれば、MiG29はポーランド空軍で30機近く運用されているものの、近年の事故では3機のMiG29が失われた模様。
トルコ・ファクター
ポーランドがこれほど速やかにF35を購入できた背景にはトルコの要因がある。トルコはロシア製地対空ミサイルシステム「S-400」を購入したことにより、米国との関係が悪化している。ポーランド政府はこれまで米国とトルコの関係悪化を注視しており、トルコがF35プログラムから除外された場合に備え、「列に並んでいた」といえる。
ロシア製ミサイルの購入をめぐるトルコと米国の関係悪化は2019年7月に始まった。米国はこれまでロシア製ミサイルの購入を中止し、米国製のパトリオットミサイルを購入するよう、トルコのエルドアン大統領に迫っていた。