読売新聞は首相の声明を「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントなどは大規模な感染リスクがあることを勘案した」と引用する一方で、
2月29日、3月1日に東京ドームで開催の読売ジャイアンツ対ヤクルトスワローズのオープン戦は無客観戦試合にすることを決めた。
同じく感染拡大予防の目的で日本では多くの行事が取りやめ、または延期されている。対象になるのは学校の卒業式やビジネス会談、展示会、コンサート、スポーツイベントだけではない。公共社会全体に及ぶ規模の行事まで実施が危うくなっている。絶対的な禁止令は発動されていない。だが首相、厚生労働省はイベント主催者に感染リスクを冒してでも行事を実行する必要性があるかどうか、客観的に見極めるよう執拗に要請している状態だ。
新型コロナウイルスが原因で、皇居で2月23日に予定されていた天皇誕生日の一般参賀も取りやめとなった。徳仁天皇は今年、60歳になられ、即位後初めてのお誕生日の一般参賀にのぞまれるはずだった。徳仁天皇は代わりに、「憲法を順守し、象徴としての務めを誠実に果たしてまいりたい」というメッセージを国民に伝えられた。
自由民主党は3月8日に開催を予定していた党大会の延期を決めた。党大会には3千人が参加する予定だった。
昨年11月に死去した中曾根康弘元首相の合同葬も3月15日に行われる予定だったが、無期延期された。葬儀は少なくとも1千人の集まる葬列となるはずだったが、政府は葬列者の健康を害することがあってはならないと延期に踏み切った。
旅行客を大いに失望させたのは、三鷹の森ジブリ美術館の臨時休館だ。ジブリ美術館は2月22日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月25日から3月17日までの期間、臨時休館することを発表した。ジブリ美術館は観光シーズンには入館チケットの入手も数か月前に行わねばならないほど大人気。その休館に国内外の観光客はがっくりと肩を落とした。臨時休業を決めたのはジブリだけではない。東京のサンリオピューロランドもそうだ。また東京国立博物館も2月27日から3月16日まで 「日本政府の要請により」と断って、ウイルス感染防止のための休館を発表した。
快晴の日は遠く富士山まで望むことができる東京都庁展望室も2月27日から3月15日まで閉鎖を決めた。
イベント中止に踏み切らなかった主催者は最大限の感染拡大防止策を講じている。
たとえば日本最大級のコンベンション施設である千葉市の幕張メッセでは、すべての入り口でカメラによる来場者の検温を実施し、37.5度以上の場合には入場を許さず、医療チェックに送り込んでいる。幕張メッセは入口で来場者全員にマスクを渡しており、マスクの着用なしで歩き回わらないよう呼び掛けている。入場者の数は極わずかなため、ブースに立つメーカーはプレゼント抗戦など、あの手この手で客寄せを図っている。
パシフィコ横浜で予定されていたカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2020」もとうとう開催中止が決まった。主催者の一般社団法人カメラ映像機器工業会は「新型コロナウイルスへの有効な治療薬や対処法の先行きが見通せない中、来場者および出展関係さの健康や安全面などを第一に考え」て中止を決定したと発表している。ショーは2月27日から3月1日まで横浜で行われるはずだった。
25日にはJリーグが約3週間の公式戦計94試合について、開催延期を決定した。
これより前に東京マラソンの組織委員会が参加者数を大幅に削減したことが報じられた。結果として3月1日のマラソンには当初に予定されていた3万8千人ではなく、176人の走者と車椅子走者30人だけが出場する。2万4千人の参加が見込まれていた、3月8日の名古屋ウィメンズマラソンもこれと同様の決定をとった。マラソンは大幅に規模を縮小し、主に五輪出場を賭けた少数の女子ランナーが参加する。街頭での観戦も禁じられた。
パラスポーツの応援プロジェクトで駒沢オリンピック公園総合運動場で開催が準備されてきた「BEYOND STADIUM 2020」も中止が発表された。
「BEYOND STADIUM 2020」の公式ページは「 新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けまして、都民及び国民の健康と安全を最優先に考慮し、令和2年2月24日(月・休)に駒沢オリンピック公園総合運動場で実施予定であった「BEYOND STADIUM 2020」の開催を中止させていただくこととなりました」と書いている。
東京五輪2020の組織委員会は2月22日に予定されていたボランティアの「シティキャスト」共同研修の開催を延期した。だが、それだけにはすまない。そもそもの五輪の開催自体を国際オリンピック委員会(IOC)が危ぶみはじめた。IOCメンバーのディック・パウンド氏は25日、東京五輪が開催できるか、その最終判断は5月に行われることを明らかにしている。
東北大学大学院医学系研究科微生物学分野の押谷 仁教授は19日、東京の外国人記者クラブで英語で講演した際に「我々は安全な五輪を開催する最善の方法を見出さねばならない。現段階では有効な戦略がないため、(今)五輪を開催するのは難しいと私は思うが、7月末には異なる状況になっている可能性はある」 (英語からの和訳)と語っている。
中国の新型コロナウイルス
中国当局は12月末、武漢市で原因不明の肺炎が発生したと発表した。最初の患者たちは海鮮市場に出入りしていた。
専門家らは、暫定的に新型コロナウイルス2019-nCoVが疾患の原因と判断した。
どうやって自分を守る?
WHO(世界保健機関)が新型肺炎に感染するリスクを軽減する方法を公開しています。