「底のない世界に一歩踏み出す」:人類初の宇宙遊泳から55年

ちょうど55年前、ソ連のアレクセイ・レオーノフ宇宙飛行士(1934年-2019年)は人類で初めて宇宙遊泳を行った。宇宙船の外で12分過ごし、宇宙船から5m以上遊泳した。
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宇宙飛行士パーヴェル・ベリャエフとレオーノフを乗せた宇宙船「ヴォスホード2」は1965年3月18日にバイコヌール宇宙基地から打上げロケット「ボスホート」により打ち上げられた。1時間半後、宇宙服を着たレオーノフ飛行士は初めて「底のない世界」に一歩を踏み出した。

歴史は偉大な宇宙飛行士のこのような言葉を残している:「目的のないところに歩いていた。私が何に出会うか、私がどうなるか、自分自身でも分からなかったし、世界で誰も知らなかった。恐怖があったかって?なかった。」 


米国を追い越す

宇宙船「ヴォスホート」飛行と宇宙遊泳という課題をソ連指導部が打ち立てたのは1964年4月。当時同じような「ジェミニ」計画を立てていた米国を追い越さねばならなかった。

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スプートニク通信の取材に対し、ツィオルコフスキー記念ソ連宇宙科学アカデミーのアレクサンドル・ジェレズニャコフ・アカデミー会員は「ソ連と米国は並行路線を行っていた。米国の初の宇宙遊泳はレオーノフより2ヶ月半後に達成された。ソ連も米国もこれを非常に重要視していた」と語った。


宇宙の真空で非常事態

レオーノフ飛行士の宇宙服「ベールクト」を地上で試験した際、実際の宇宙真空のシミュレーションは不可能だった。そのためレオーノフ飛行士が船外に出た時、宇宙服が過膨張を起こし、腕がグローブから、脚はブーツから出てしまった。これは飛行士のロック状態を維持できなくなり、事故死につながる危険があった。

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しかしレオーノフ飛行士はマニュアルを違反して助かった。宇宙服内の圧力を下げると「服」は身体にぴたりと収まった。その後もルールに反して、足ではなく、頭から先にエアロックに入った。


錚々たる英雄ロード

レオーノフの偉業以来、55年間で宇宙船外に出たのは232人。そのうちソ連・ロシアの宇宙飛行士は67人、米国144人、あとはフランス、日本、カナダで各4人、ドイツ3人、中国2人、スイス、スウェーデン、イタリア、英国が各1人。船外活動は416回行われ、そのうちロシア製宇宙服は150回、米国製は265回、中国製が1回だ。

宇宙船外活動の最長時間は8時間56分で、2001年3月11日にNASAのジェームス・ヴォッス飛行士とスーザン・ヘルムズ飛行士がISS(国際宇宙ステーション)で行った。

ロシアのアントン・シカプリョフ飛行士とアレクサンドル・ミスルキン飛行士は2018年2月2日にロシア人として最長記録の8時間12分の船外活動を行った。

回数と合計滞在時間ではアナトーリィ・ソロヴィヨフ飛行士が16回、計78時間46分の記録を20年以上保持している。

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