感染を確認するプロセスは複雑で時間がかかる。トランプ米大統領も新型コロナウイルスの検査結果は翌日まで待たねばならなかった。結果は陰性だった。ロシア直接投資基金のキリル・ドミトリエフ会長によれば、開発されたキットは実験室を介さずに大人数の検査ができるだけではなく、正確度の高い結果がわずか30分で得られる。
検査は実験室でも出来るが、小型トランクを使った移動式ミニ実験室でも行うことができる。検査を行うのには病院でも、学校、空港、駅でも場所を問わない。
ドミトリエフ会長は「新型のエクスプレステストを使えば、一切の初期症状が出ていなくても人体内のCOVID-19の有無が迅速かつ正確に見極められる。初期段階で感染を見極めることで、患者を隔離し、回復の可能性を高めることができる」と語っている。
今使われている検査方法は?
現段階では感染が確認された国の大半は、検査方法には世界保健機関(WHO)の勧告に従い、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)メソッドを使っている。まず、喉の粘液、唾液、痰を採取し、実験室でこれからリボ核酸(RNA)を取り出す。このRNAにウイルスのゲノムが含有されている。さらにRNAをDNAに変化させる酵素を加える。この後、ウイルスに感染させたDNAの複製をつくり、その中にSARS-CoV-2ゲノムに合致する配列を探す。もし同じ配列があれば、検査結果は陽性とされる。このPCRメソッドは現在、最も広範に用いられているものだが、大きな欠点がある。検査機器や試薬が高額につくこと、分析結果が簡単には得られないことだ。
新たなメソッドの長所は?
基金の広報部はスプートニクからの取材に、日本側のパートナーの名前を明かすことも、メソッドの具体的な説明も明かそうとはしなかった。ただし今まで明らかにされている説明から、おそらくLAMP法に基づいたものであると推測できる。LAMP法は高感度で、かつ迅速に結果が得られ、高価な機器や複雑な分析を必要としない。このメソッドを世界に先駆けて開発したのは日本の栄研化学株式会社で 1998 年のことだ。
露日合同の新検査法の実験はロシア、ノボシビルスク州にある主導的なウイルス学バイオテクノロジー・センター「ヴェクトル」で行われている。4月にはパイロット調査がスタートし、大規模な検査開始は5月になる見込み。現在は認定証および、欧州、アジア、中東での使用許可証の取得段階にある。