こうした症例の多くは米国で確認されている。デトロイトのある医療施設に、3日前から咳や発熱、精神障害の症状が発生した50代の女性が搬送された。検査で新型コロナウイルスが確認され、また、画像検査では壊死性脳症が判明、脳のいくつかの箇所に浮腫と細胞の死滅が認められた。この致命的に危険な病気は、インフルエンザや他の感染症のもっとも稀な合併症の1つといえる。この女性は医師に対し、自分の名前をはじめ、自分のことについて若干伝えることができたが、しかし、時間の経過とともに対話能力が徐々に低下していった。
フロリダでは、74歳の男性が咳と発熱で救急医療を受診。レントゲン検査では肺炎は確認されなかったことから帰宅することとなった。翌日、この男性は熱が上がり、呼吸困難が発生、会話ができなくなった。数日後、男性は新型コロナウイルスの感染が確認され、そのことからパーキンソン病が急激に悪化したことが明らかとなった。
新型コロナウイルスから精神障害を発症した患者用に専門体制がとられたイタリアでは、医師らは、入院患者にけいれんや方向感覚の損失、意識障害、会話の混乱、異常行動の症状が現れたことを確認した。患者の何人かは、呼吸器疾患の外的症状がまだ発生していないにもかかわらず意識せん妄となっていた。
同じような兆候が中国やドイツ、フランス、オーストリア、オランダの患者でも確認がされている。その中には60歳以下の患者も含まれた。
多くの医師らは、精神学的症状は、気道の損傷による酸欠に関連している可能性があるとみている。それにも関わらず、医師らは、脳機能の損傷の兆候は新型コロナウイルスの感染による症状の1つであるおそれがあるという考えを維持している。
同時に、医師らは、今日、新型コロナウイルスの脳への影響についてはあまり知られておらず、圧倒的多くの感染者には精神障害は確認されず、意識も明瞭だと指摘する。
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