放射能汚染地域での火災は脅威となるか
チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域の総面積は約2600平方キロメートル。同区域で森林火災が発生したのは今回が初めてではない。自然保護活動家らは、大気中に残留した放射線物質が拡散する可能性を指摘するが、研究者の多くは、リスクは最小限だと主張する。
崩壊した原子炉は強固な石棺で覆われ、2019年にはさらにそれを覆う安全対策用の構造物が建造された。
この構造物は完全に密閉され、その耐用期間は70年から100年とされる。放射性廃棄物の保管場所もしっかりと保護されている。これは鉄筋コンクリート製のセクションで、その壁の厚さは数メートルに達する。もっとも危険な場所はチェルノブイリ原発から10キロ圏内の「赤い森」とされている。この森では放射能汚染の数値が場所によって大きく異なる。
いくつかのエリアは、地球上の他のどこよりも放射能レベルが高い。しかし、別のエリアは状況がまったく異なり、汚染のないきれいな環境にある。立ち入り禁止区域のどのエリアがもっとも危険であるかを理解するため、英国ブリストル大学の研究者らはドローン2機を使い、「赤い森」の放射能レベルに関する詳細な3D地図を作製した。
立ち入り禁止地域に生物は存在するか
チェルノブイリツアーは危険か
事故から10年から15年が過ぎた頃にはすでに、旅行者たちが合法または非合法にチェルノブイリ立入禁止区域に訪れるようになった。立ち入り禁止区域の複数のエリアへの訪問が安全とされて以来、ゴーストタウンのプリピャチ市やその他のエリアへのツアーが大きな人気となった。毎年、ここには世界中から約7万人が訪れている。また、テレビドラマ『チェルノブイリ』が米国チャンネルHBOと英国のSkyで放送されたことから、ツアーは60%も増加した。
現在、立ち入り禁止区域には独自の環境が形成されている。崩壊した原子炉建屋を覆う構造物の屋根には約4000個のソーラーパネルが設置されている。原子力発電所は太陽光発電所に様変わりした。保護区の試験用の畑では野菜が栽培されている。しかし、ここで農業を行うには安全基準が厳しいため、事業は儲からない。ここには、研究者たちの仕事もたくさんある。彼らは、放射線による影響がもっとも大きい地域で何が起こっているかを注意深く研究し、チェルノブイリのような事故が環境に与える長期的な影響を評価しようとしている。