研究者らは、その突破口があると断言する。人間を傷つけることなくウイルスを破壊する紫外線ライトは、コロンビア大学の研究者らによってテストされており、飛行機のキャビン、空港、病院、学校で効果があるという主張だ。
しかし、仮に航空機メーカーが紫外線ライトを各機内に設置するとなると膨大な費用がかかる。また、米連邦航空局(FAA)は機内での許容範囲内の二酸化炭素レベルなど、いくつかの空気品質基準を設定しているが、感染症拡大防止の規則は設けていない。
陳氏はまた、新型コロナウイルスが排泄物に含まれていることを示す研究にも言及し、機内のトイレでウイルスに感染する可能性に着目している。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での集団感染は、まさにその懸念材料を提供している。
航空機メーカ大手「ボーイング」社は、専門家が指摘する感染リスクについてはコメントしていないが、自社の製品戦略は独自のものであり、感染に関する研究は 「常に優先度が高い 」と答えている。同社によると、2019年、特別に設計されたボーイング777型機のトイレで紫外線ライトを使い、トイレ内の細菌の99.9%を「乗客が使用するたびに」殺菌するテストを行ったという。
またエアバスは、紫外線ライト利用の検討についてはコメントしていない。
コロンビア大学の研究者らは、紫外線照射されたマウスの皮膚や角膜に病変がないかチェックしている。研究の最終過程では、マウスにDNA損傷が起きていないかどうかも調べるという。
研究者らがワクチンの開発を急いでいる間、ウイルスは人々と一緒に「都市から都市へ」移動し、電車や飛行機、バスで移動し、世界中を巡っている。同大学のブレナー氏は「何らかの方法でウイルスの輸送経路を切断できれば、良いことがたくさん起こるだろう」と述べている。