日本におけるオスプレイ。パイロットが訓練で直面しうる技術的問題

木更津飛行場に拠点を置く第1ヘリコプター団に新たな飛行隊が編制された。第107と第108飛行隊で、V-22オスプレイを装備する。オスプレイの最初の2機は2020年6月に米国から到着するはずで、ヘリコプター団が全17機を取得するのは2022年3月になる。
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現在、第1ヘリコプター団はV-22オスプレイの操縦訓練を行っている。この航空機の操縦は複雑で、他のあらゆるヘリコプターの操縦とは大きく異なっている。日本が数十機配備しているCH-47との比較で検討してみよう。

CH-47の操縦はそれほど難しくない。パイロットは右手にヘリコプター操縦桿を握り、左手に推力制御レバー(上下に動く)を握る。足はペダルに置く。ヘリコプターの操縦は飛行機の操縦と同様だ。操縦桿を左に傾ければ、両方のローターがそれと同じ方向に傾き、ヘリコプターは傾いて弧を描いて左に旋回を始める。ペダルを使うと同じ操作をより急激にすることができる。前のローターが旋回方向に傾き、後ろのローターが逆方向に傾くのだ。操縦桿を前方に傾けると、ヘリコプターは前方に進んで、速度が上がる。後方に傾けると、ヘリコプターは速度を落とし、後ろに進むこともできる。ヘリコプターがホバリングしているとき、パイロットは推力制御レバーでヘリコプターを上昇させたり、下降させたりすることができる。

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V-22オスプレイの場合、パイロットは右手にオスプレイの操縦桿を握り、左手に推力制御レバーを握り、足は方向ペダルに置く。CH-47 にはない操縦の重要な要素が、推力制御レバーに設置され、左手の親指の下に来るダイアルだ。これはエンジンナセルの角度を調節するためのものである。

ヘリコプターとは違い、オスプレイのパイロットはローターの角度だけでなく、エンジンナセルの角度、そして主翼と尾翼に設置された(飛行機と同じような)ラダーも操作する。これらがすべて同時に動き、驚くべき効果を生み出すのだ。例えば、エンジンナセルの角度が固定翼に対して45度のとき、オスプレイは急激に速度を上げ、高度を上げる。オスプレイはエンジンナセルの角度によって、ヘリコプターのように垂直に離着陸することも、飛行機のように滑走距離を取って離着陸することもできる。

CH-47 のパイロットがV-22を習得することは、双方の操縦装置に共通点が多いことから、当初はそれほど難しいことではないと考えられていたようだ。しかし、実践してみると決してそうではなかった。ヘリコプターと違い、オスプレイには3つの飛行モードがある。飛行機モード(ナセルが主翼に対して水平)、コンビネーションモード(ナセルの角度が1~74度)、ヘリコプターモード(ナセルの角度が74~96度)である。それぞれのモードに独自の操縦経験が必要で、事実上、パイロットは飛行機とヘリコプターを同時に操縦できなくてはならない。特に難しいのは、モードの切り替えである。それぞれの角度によって制限速度が異なっており、パイロットはそれを覚えていなくてはならない。

さらに、アメリカのパイロットによると、オスプレイにはこれ以外にもヘリコプターとは違う点があるという。具体的に挙げてみよう。

  • ヘリコプターにとって、特に戦闘状態において最重要な性能、エンジンが損傷しても機体を着陸させられるオートローテーションが事実上行えない。
  • 急旋回や急激な操作ができない。
  • 垂直離着陸モードでの転倒モーメントが大きい(これを搭載コンピューターで補なっており、パイロットによる操縦は制限されている)
  • 着陸の際、ローターの下の流速はヘリコプターの2倍となり、これが時として着陸を困難に、あるいは不可能にする。

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そのため、CH-47のパイロットが単純にオスプレイに乗り換えるという訳にはいかない。ヘリコプター操縦の経験が大きく邪魔をするのだ。そうした経験はオスプレイの操縦には役に立たないか、あるいは危険ですらある。例えば、ヘリコプターの操縦士は速度を上げようとするとき、ヘリコプターを前方に傾け、下降する。しかし、オスプレイのパイロットは、速度を上げてエンジンナセルをヘリコプターモードから飛行機モードに変えるとき、逆に機首を上げて、降下を阻止しなくてはならない。そうしなければ、制限速度を超えてしまい、大事故に繋がる。

オスプレイの操縦は複雑で、練度の低い乗組員には危険だ。V-22オスプレイの乗組員には機長としての訓練とパイロットとしての訓練が要求される。訓練計画によると、パイロットとしての訓練時間は180日。機長の場合、まずエンジン工学を66日間学んだ後、109日間の機長訓練コースを受講する。比較のために言うと、ヘリコプターMi-171の訓練時間はわずか35日である。

オスプレイの訓練をこれほどまでに急いでいるのは、どうやら、こうした状況が関係しているようだ。訓練は2022年3月まで2年間も続くのである。日本の司令部は、練度の低いパイロットによって機体が失われることがないよう、急がないことを努めている。

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