9日のドイツでは各地で抗議活動が行われ、参加者らは新型コロナウイルスのパンデミックにより導入された様々な規制に抗議を行った。
ドイツ南部の大都市シュトゥットガルトのカンシュタッター・ヴァーゼン広場では1万人以上がデモに参加したと独ビルト紙が報じている。
シュトゥットガルトのデモを主催するミハエリ・バールベグさんによれば、9日のデモには5万人が参加するはずだったという。ミハエリさんは「自主性ある生活」を求めて抗議を行っており「人権、平和、自由を守りたい」とビルト紙の取材に答えた。バールベグさんは毎週末に抗議活動を主催しており、週を追うごとに参加者は増えているという。9日のデモには300人の警察隊が出動し、ソーシャル・ディスタンスの維持にあたっていた。
9日は首都のベルリンでも抗議活動が行われ、およそ1700人(警察発表)が参加した。警察は集会や公衆衛生について当局が定めた規制に違反した罪に加え、公務執行妨害容疑で134人の参加者を拘束した。最も参加者が多かったのはアレクサンダー広場で、およそ1200人が抗議活動に加わった。
東独時代の1989年、アレクサンダー広場では「我々が人民だ!」(Wir sind das Volk!)というスローガンの下、数十万人がデモに参加したといわれるが、今回の抗議活動でもこの伝説的なスローガンが登場した。
ただし、近年のドイツでこのスローガンは反移民政策を主張する右翼の過激派や保守系ポピュリストらの間で主に使用されており、今回の抗議活動でもこうした社会的背景の参加者が目立った模様。
デモの参加者らは自宅隔離などの規制措置が憲法違反に当たるとして規制緩和を要求していた。一方、憲法裁判所は今回の規制措置を違憲とはしていない。
ドイツでは現在、50人以上の集会は禁止されている。また、50人以下の集会であっても1.5メートルのソーシャルディスタンスを維持することが条件となっている。警察は違反者に対し罰金を科すなど、処罰を行うものの、逮捕状の請求は行わないとしている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の最新集計結果によれば、ドイツでは17万1324人が新型コロナウイルスに感染し、そのうち7549人の死亡が確認されている。回復した人の数は現時点で14万3300人に達している。
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