専門家らは、パンデミックと天然ガス価格の下落という要因が組み合わさったことで、バフェット氏は非常に有利な価格でドミニオンの天然ガス事業を買収することができたとみている。
バークシャー・ハサウェイは5日、米ドミニオン・エナジーから天然ガス事業を97億ドル(約1兆440億円)で購入した。
ドミニオン・エナジーは、電力・天然ガスの輸送を手がける米国の企業。同社は2007年まで、米国の天然ガス業界大手とみられていた。
しかし天然ガスの需要が減少しているのに、なぜバフェット氏は天然ガス事業を必要としているのだろうか? 米RCHエナジーの創業者ロブ・レイモンド氏によると、バフェット氏は、世界が自動車から電気自動車に移行するという未来を見据えて動いているという。
レイモンド氏は「今後数年で世界の自動車は電動自動車に積極的に移行する。これに伴い発電所で使用される天然ガスの需要が伸びる」と米CNBCの番組「Squawk Box」で述べている。
ウォーレン・エドワード・バフェット氏は米国の起業家であり、世界で最も著名な投資家の1人。バフェット氏は2019年2月12日時点で、世界第4位の富豪。資産は推定849億ドル(9兆1370億円)。
バークシャー・ハサウェイを4340億ドル(約46兆7070億円)の複合企業に変えたバフェット氏は、非常に不安定な市場で長年にわたりユニークで複雑な取引ができると評価されてきた。しかしバフェット氏は2020年、パンデミックの影響で株式市場が暴落した際に大きな買収はせず、5月には米大手航空会社への投資を失敗だと認め、株式を売却したこともあった。バークシャー・ハサウェイの5月時点の手元資金は、1370億ドル(14兆7440億円)。