「対米交渉における唯一の切り札」 北朝鮮、核開発を再開か

8月3日に国連安保理の北朝鮮制裁委員会に提出された報告書によると、北朝鮮は高濃縮ウラン製造や実験用軽水炉建設など、核開発を継続しているという。報告書は独立系専門家グループがまとめたもので、直近6回の核実験から、北朝鮮は弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発した可能性についても指摘している。
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報告書は機密扱いになっているが、ロイター通信が何らかの手段により入手し、その内容を報道した。

この事実にドミトリー・ポリャンスキー国連ロシア大使は注意喚起を行い、自身のツイッターで国連の機密情報が漏洩したことを非難している:「我々は断固としてこの事実を非難する。情報漏洩は深刻な影響を及ぼす可能性がある。国連に対し、このような事件すべてを調査し、防止するよう求める。」

​ロシアのこの姿勢を中国大使も支持している。

北朝鮮の国連代表は報告書について今のところ何もコメントしていないが、7月28日の朝鮮中央通信は金正恩朝鮮労働党委員長の言葉として、朝鮮民主主義人民共和国は抑止力として核兵器を保有することにより、確実な防衛と安全を担保していると伝えた。北朝鮮は「いかなる圧力や軍事的脅威、恫喝から身を守ることができる国になった」と金正恩氏は強調している。

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元外務次官で、現在はロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所の研究員であるゲオルギー・クナーゼ氏はスプートニク通信の取材に応じ、「国連にこの報告書が出現したのは偶然ではない」と語る: 「国連には、北朝鮮を専門とする専門家グループがある。そのメンバーにはロシア人も入っている。彼らは自国の特務機関の情報をベースとしており、米国諜報機関は2017年の段階で、北朝鮮では小型核弾頭の開発が進められており、米国本土など遠方標的に対して発射するミサイルへの搭載を見込んでいると報告していた。同じような結論に日本も至っており、2019年の防衛白書において北朝鮮の軍事力拡大が現実的かつ差し迫った脅威をもたらしているとしている。北朝鮮に対しては韓国、中国、その他の国々も注視しており、情報不足に加え、指導者が予測不能であることから、周辺国のみならず世界全体が懸念を抱いている。」

一方でゲオルギー・クナーゼ氏は、北朝鮮の動機も容易に説明できるとしている:「2018年以来、トランプ米大統領と金正恩氏による首脳会談は3回実施され、朝鮮半島の非核化を通じて徐々に制裁解除と米朝関係の正常化を進めようとした。北朝鮮側は寧辺核施設の核物質製造装置解体など、非核化を一部行い、その引き換えとして経済制裁解除を提案。一方の米国側はこれに同意せず、完全かつ無条件の非核化を要求した。そして現在、交渉は行われていない。しかし北朝鮮は、小型核弾頭を搭載した米国本土に到達可能なミサイルを一定量保有するようになれば、米朝関係は変わると考えている。交渉は、核抑止ファクターがある米中モデルで進められるだろう。北朝鮮にとって核兵器は、米国との交渉において、また体制維持保証において唯一の切り札だ。」

北朝鮮は核開発に数十年を費やし、結果として国際社会で孤立してしまった。北朝鮮の核ミサイル計画に関連する制裁は国連、また多くの国や国際機関により2006年に導入されている。それ以降、制裁は毎年強化されてきたが、それにもかかわらず、2017年まで核実験は継続されてきた。金正恩氏は2019年12月、核兵器および大陸間弾道弾ミサイル実験の再開を発表。また近い将来、新たな戦略兵器を披露することも予告した。


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