ロシア開発の新型コロナワクチン 安全性、有効性を調べる第3相試験の実施方法は? 

ロシアのガマレヤ国立疫学微生物研究センターはロシア直接投資基金と共同で世界初の新型コロナウイルス感染症のワクチン「スプートニクⅤ」の開発に成功した。ロシア直接投資基金はすでに世界20か国超から10億本のワクチンの取得申請を受けている。試験段階ではワクチンの安全性、有効性が証明されたが、第3相試験はこれから実施される。第3相試験はどのように実施され、また何のために必要かについて、同研究センターのドミトリー・ログノフ副所長は、スプートニク通信社からの取材に答えた。
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スプートニク: 第3相試験には何人の被験者が参加しましたか?

ログノフ副所長:「最終的な人数は調整の段階ですが、およそ3万人になります。今の段階で1つの案として2000人は臨床で免疫原性の基準を調べ、後の2万8000人に対しては疫学的有効性を評価する観察を行います。

ワクチンごとに QRコードがつけられ、アプリを通してすべての医療機関の接種が厳格に記録され、被験者に好ましくない症状が現れた場合、もれなくそれが記載されます。被験者も各々が自分の体調についてアプリで報告を行うことができます。

スプートニク:  臨床実験の各段階はどう異なるのでしょうか? 

日本では4種類の新型コロナワクチンの前臨床試験が行われている=WHO
ログノフ副所長:「第1相試験は安全性を評価する段階ですが、通常、第1相の検査に限定されることはありません。これに参加できる被験者数は最大20人です。ワクチンを被験者に接種し、安全性だけを調べて、採血もせず、免疫原性も見ないというのは馬鹿らしい話ですから、第1相試験は第2相試験と抱き合わせで行われるのが通常で、同時に安全性と有効性が調べられます。この段階ではワクチンの有効性は免疫原性で評価されます。第3相で評価されるのは疫学的有効性です。

さらに付け加えて申し上げたいのが臨床実験に入るには、その前に必須の前臨床実験プログラムをクリアせねばらならないということです。  これは動物を対象に安全性と免疫原性を調べるもので、これなしに人間には投与できません。ただし、例えば アメリカ食品医療品局(FDA )などは、然るべき調査研究を経たプラットフォーム技術である場合は、前臨床試験には特別に短縮プロセスを許可しています。我々のプラットフォームは十分な研究を経たものではありますが、2種のサル目、ウサギ目、マウス、ラット、モルモット、ハムスターを使った総合的な前臨床試験をすべて通過し、成功させました。このケースでは我々はFDAの認める短縮方法を踏襲していません。

同じくワクチン開発を行う Johnson & Johnson(米国)、 Moderna(米)、 AstraZeneca(英国、スウェーデン)がFDA方式で進めたかどうかは、私は知りません。

スプートニク:なぜ第3相試験は一時的な承認を経てから行われるのでしょうか? 

ログノフ副所長:「一時的な承認という考えと意味はリスク・グループの人にワクチン接種の可能性を与え、それによって感染による症状や死亡から彼らを守ることにあります。ですが民間に流通するには厳格なコントロールがあり、一時的な承認はいつ何時も一時停止されうるものです。

第3相試験の目的は大人数の被験者に対し、制御されたランダム化比較試験の枠内で大規模に安全性と有効性を調べることにあります。これは大きな統計データを得るためにどうしても必要であり、ワクチンを恒久的に承認する決定をとるために欠かせません。

世界初の新型コロナワクチン開発に成功したガマレヤ国立疫学微生物研究センターのログノフ副所長へのインタビュー第1弾は、こちらからお読みいただけます。

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