外出制限中の映画館
Netflixなどの大手がすでに新しい安全基準を守って撮影を開始しているにも関わらず、ドラマやショーは今も未完のままである。
ディズニーは何度も延期を繰り返した末、アニメ『ムーラン』のリメイクを9月4日にストリーミングサービスDisney+で公開すると決定した。当初、この作品は3月に上映される予定だった。
ジェームズ・ボンドの映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』も何度も延期され、今のところ、封切りは2020年11月の予定だ。長編アニメ『トムとジェリー』の上演は2021年で、キアヌ・リーブスの『マトリックス4』はさらに先の2022年である。
シーズンが中断してしまうドラマが多い中、最終シーズンを放映しているのが『スーパーナチュラル』と『Empire成功の代償』である。
2020年3月、Warner Bros. Televisionはコロナ禍で『スーパーナチュラル』の制作を停止した。3月23日には、ショーランナーのアンドリュー・ダブが『スーパーナチュラル』は無期限の休止に入ると発表した。その後、『スーパーナチュラル』を放映するテレビ局The CWが、残りの7話を2020年秋に放映すると伝えた。
視聴者に配慮すると、俳優が高い代償を払うことに?
ハリウッド映画の東京での制作(マイケル・マン監督のHBO Maxの『Tokyo Vice』など)は早くも3月半ばにはストップしていたが、現地では多くの撮影がコロナ最悪期でも中断されずに続いていた。
こうしたやり方は視聴者にとっては配慮だが、俳優にとっては必ずしも良いとは限らない。
8月10日、俳優の眞島秀和さん(43)が新型コロナウイルスに感染したことが発覚した。眞島さんはNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」と日本テレビ系ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」に出演していた。これまでに俳優の吉沢悠(ひさし)さん、横浜流星さん、山崎裕太さんも新型コロナウイルスに感染した。
めちゃくちゃ好きなストーリーなんで、もっと長く観たかったです!
テレビ局は最大限撮影してしまおうと努力したものの、ドラマの中には短縮を余儀なくされたものもある。こうなると、当初予定されていた放送回数は実現せず、視聴者はコロナ前に撮影されたものしか見ることができない。例えば、『BG~身辺警護人~』のシーズン2は当初予定されていた全10話ではなく全8話となり、放送開始も延期された。ファンは今、シーズン3に続くことを期待している。
同じく、撮影スケジュールの変更で放送が延期されたのが『半沢直樹』のシーズン2である。シーズン1の終了後、5年ぶりの放送だった。ロシア語のファンサイトには、次のような投稿もある。「限りなく幸せ。シーズン2を5年間待ち続けて、ついに、あと少しのところまで来た。大丈夫。あと少しぐらい我慢できる。」
50年ぶりの休止:業界の巨人も耐えられなかった
しかし、最も苦しんだのはオタクたちである。『ボルト』『ポケモン』『ワンピース』など、アニメドラマ数十作が無期限休止になったのだ。最も長く放送されているテレビアニメ番組としてギネスブックにも登録されている『サザエさん』ですらコロナ禍には耐えられなかった。
公式サイトでは、早くも春の時点で、制限が解除されるまで過去のエピソードを再放送すると発表された。
アニメファンにとって最大のロスは一時休止ではない。女優でスタジオジブリの声優でもある岡江久美子さんが今年4月、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなったことは声優界や彼女の作品のファンを震撼させた。
こうした状況もプラスに変えようと映画制作者は努力している。現在もなお、世界中をパニックに陥れている新型コロナウイルス感染症COVID19。ここ日本でも政府が「緊急事態宣言」を発出し「外出自粛」「三密回避」「テレワーク導入」など、我々の生活は一変した。そんな最中、日本を代表する5組の監督と豪華キャストが参加、「緊急事態」をテーマに5本の映画を撮り下ろした映画『緊急事態宣言』が、2020年8月28日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信される。
外出制限でテクノロジーに道が開けた
外出制限下でも欧米の監督は制作の道を見出した。誰よりも早く状況を活用したのが『シャザム!』のデヴィッド・F・サンドバーグ監督である。妻のロッタ・ロステンとともに、自宅で恐れるべきものについて2つの短編ホラーを制作した。
続いて、マーティン・スコセッシ監督も外出制限中の自分自身について短編作品をBBCのために制作した。
Netflixのアンソロジー『Homemade』のために、『ヤング・ポープ 美しき異端児』のパオロ・ソレンティーノ監督、女優のクリステン・スチュワートやマギー・ジレンホールなど、世界の映画人20人近くが作品を制作した。
ロシアでも外出制限下でスター俳優の揃う作品が複数制作された。こうした作品の多くはスクリーンライフ、つまりスクリーンキャプチャを使った技術で制作されたドラマで、自宅から一歩も出ずに仕事をし、友情を育み、人を愛することを描いたものだ。
外出制限が比較的緩やかだった日本では、このジャンルはまだそれほど人気が出ていない。テクノロジーの影響を受けて、日本でも伝統的な制作方法が変わるのか。時が証明してくれるだろう。