アゼルバイジャン国防省は27日、アルメニア軍がナゴルノ・カラバフ共和国の境界ラインに広がる集落に発砲したと発表した。アゼルバイジャン検察によると、民間人のうち19人がこの砲撃で負傷し、病院に搬送されて手当てを受けている。事態悪化を受けてアゼルバイジャン議会は臨時国会を開き、国内の一部地域で軍事態勢の導入を採択した。大統領が48時間以内に承認すれば、軍事態勢は正式に導入される。
攻撃を受けたアゼルバイジャン軍は報復としてナゴルノ・カラバフ共和国に空爆とミサイル攻撃を行い、武器庫などの軍事施設を破壊した。
ナゴルノ・カラバフ共和国のアライク・ハルチュニャン大統領は一連の攻撃により、共和国内で数十人の兵士が死亡したほか、民間人にも多数の死者がいることを明らかにした。首都ステパナケルトを含む都市部にも被害は発生しており、大統領府は安全な場所に避難するよう市民に呼び掛けている。
アルメニア保健省がフェイスブックに投稿したコメントによると、アゼルバイジャン軍との衝突でアルメニア兵16人が死亡したほか、100人以上が負傷した。また、ナゴルノ・カラバフ共和国内にいたアルメニア人18人(うち軍人が11人)が負傷して病院に搬送された。アルメニア政府は総動員令を発令し、55歳までの将校、准尉、一兵卒をいずれも動員している。
また、アルメニア国防省のシュシャン・ステパニャン報道官によると、アゼルバイジャン軍の攻撃を受けたナゴルノ・カラバフ共和国軍は反撃に出て、歩兵戦闘車BMP-3を含むアゼルバイジャン軍の戦闘車、およそ11台を奪取した。
ナゴルノ・カラバフ紛争
紛争はナゴルノ・カラバフ自治州がアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国からの離脱を宣言した1988年2月に始まった。1992年から1994年の武力衝突でアゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ及び隣接する7つの地域の支配権を失った。
アゼルバイジャンは領土保全を主張しているが、未承認国家ナゴルノ・カラバフは交渉当事者ではないためアルメニアがナゴルノ・カラバフの利益を擁護している。
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