また佐藤教授は、大統領選でバイデン氏が当選した場合、日本は国際舞台での権威を失う恐れがあると分析する。
佐藤教授:「だからG7のなかで『橋渡し役』をやるって言うのは、トランプ政権の中でのみ有効だった話です。バイデンさんが大統領になりますと、ヨーロッパもバイデンさんを歓迎するでしょうから、日本がそれほどユニークな立場を取ることはできなくなると思います 。」
日米軍事同盟:日本の駐留経費の増額問題はどうなるのか?
佐藤教授:「日本の駐留経費の増額問題というのはアメリカがずっと日本に求めてきたことなので、バイデン氏が大統領になったから、駐留経費の増額の圧力が弱まるとは考えていません 。 やはり、日本の防衛費はGDPに比べて少ないですので、来年3月の防衛費の増額を求めてくるでしょうが、それを日本の軍事力を増強するというよりは、駐留経費のような形でアメリカに資金を動かすような要求を求めてくる可能性が高いと思います。」
バイデン氏のアジア政策:中国、北朝鮮、尖閣諸島の扱いはどう変わるのか
バイデン氏はトランプ氏ほど中国に対して厳しい立場を取らないと推測されることから、南シナ海や東シナ海における米国の安全保障政策も軟化するのではないかと懸念されている。
佐藤教授:「尖閣諸島や北朝鮮をめぐる問題がアメリカにとって重要でなくなるというよりは、尖閣諸島の問題とか北朝鮮の問題っていうのは今のまま安定させれば良いということになると思いますので、そうなってくると、戦略的安定性の方を重視する方向に動くと思いますので、そうなると、尖閣や北朝鮮問題っていうのはややプライオリティから下がる可能性は高いと思います。」
トランプ氏が2期目に就任しても日米関係は何も変わらないのか?
トランプ氏とバイデン氏:結局どちらが日本にとって有益なのか?
佐藤教授:「トランプ氏の外交安全保障政策の特徴は個別の一つ一つの安全保障上の争点を中心に外交政策を組み立てるっていう形を取っていたと思います。だからそういう意味において日本にして見ると、やりやすかったのは事実だと思います。
そこでの操作が日本にとって好ましいかどうかってことになると、日本政府は十分に対応しようとしているようですけれども、これまでの日本の外交政策のスタイルを見る限りにおいては、あまりそういうのは得意じゃないのではないかなという気がしています。」