ウッド・マッケンジー・アメリカのエド・クルックス副社長が発表した報告書では、バイデン氏が大統領になれば、米政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標に焦点を当てるようになり、米国が気候温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定に復帰する可能性もあると指摘されている。
クルックス氏は、新大統領誕生後の米国のエネルギー政策の鍵となるのは、これまで同様、市場ファクターであるが、連邦政府の交替はエネルギー分野にとってきわめて深刻な結果を生むことになるだろうと見ている。
インフラと環境
クルックス氏は、「水圧破砕法(天然ガスや石油を含む頁岩層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールガスやシェールオイルを採取する手法)が禁止されることはないだろう。しかしバイデン氏は、国有地および大陸棚での石油・ガス産地開発のための新たなライセンスの発行を中止すると発表している。この措置は、陸地に関してはそれほど大きな影響を及ぼすことはないだろうが、大陸棚におけるプロジェクトに対する影響は大きいものになるだろう」と指摘する。
またクルックス氏は、海洋における石油採掘のための新たなライセンスが発行されなくなれば、米国の大陸棚での石油・ガスの採掘量は2035年には、ライセンス発行が継続された場合と較べて、30%ほど減少することになるとも述べている。
さらに、バイデン氏が大統領になった場合、米国では、石油・ガス部門の新たなインフラ関連プロジェクトの承認も、環境問題、気候問題という視点から検討されることになると見られる。そうなれば、新たな石油・ガスパイプラインの建設の障壁となるだろう。
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